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ライブWebinarでお受けした質問に対する回答をご紹介します。

特異性に注意してデータを見るとは具体的にどういうことですか?

Biacore™ではReference cellとActive cellの二つを準備して、Active cellだけに結合する=Active cellだけにしかないものと結合する=リガンドの特異性を検証するというストラテジーを組みます。 Reference cellに対して非特異的な結合がないこと、Active cellだけに濃度依存的に結合すること、さらにそのレスポンスは飽和することを指標にデータをご覧ください。


ドリフト?よく分らない

ベースラインよりも右肩下がり、右肩上がりのセンサーグラムのことを指します。 ドリフト自体は発生したとしてもゼロ濃度のデータを取得していれば差し引くことが可能です。 この意味でも、ゼロ濃度のデータの再現性は重要になります(エアーの混入などによるスパイクノイズを回避するためにも複数回取得することをお勧めいたします)。


複数の化合物を比較したい場合、仮に1つだけ非特異が見られて、その化合物だけ特別に設定した実験条件で測定しても、他のデータと単純比較できないという理解でOKですか?

ケースバイケースです。 非特異が見られた化合物に対して特殊な条件で解析した場合、確かにその他の化合物と並列で見ることはできないとは思いますが、何を重要視するかでご判断いただくことになると思います。


パラメータの生物学的妥当性の参考文献を教えてください

konについて記述している個所のある文献としてはRobert A. Copeland, Nature Reviews Drug Discovery volume 5, 730–739(2006)がございますが(溶液中の2つの結合パートナーの拡散速度によってkaは制限され、限界は10^8-9)、この数値を算出した過程の記述がございませんでした。恐らく熱力学的限界から各パラメータの生物学的妥当性(限界)を計算していったものと思われますが、的確な文献が見つかりませんでした。ご期待に副えず申し訳ございません。 一般論として生物学的妥当性はひとつの物理化学的測定のみで記述はできず、様々な側面からその限界値や妥当性を規定していくものと考えられますので、みなさまご自身にて的確な創薬のストーリーを組んでいただければと思います。


Biacore™で化学量論比の見積もりはできますか?

残念ながらBiacore™で何対何のような解析はできません。 解離相の形状を見て、1:1ではないのだろうな、ということ程度は分かりますが、Biacore™以外の技術と組み合わせてご確認いただくことをお勧めいたします。


アビデイテイの発生を確認できるセンサグラムありますか?

Affinityが弱い場合は今回の図のように二相性のカーブが得られると思います。


複数の初期値でフィッティングさせて、いちばんよい結果を採用したいと考えています。フィッティングの見た目とT値やChi2値、いずれかがトレードオフになってしまします。どれを優先させればよいですか?テストアナライトのシリーズで初期値は統一したほうがいいですか?それともアナライトにそれぞれ特化したほうがいいですか?

(補足)フィッティングの初期値を変更することで、今回のフィッティングのイメージ図で出てきました、ボールをどこから転がすかを変更することができます。 稀にボールはGlobal minimum(最小値)でなくLocal minimum(極小値)に落ちることがあるため、その場合は初期値を変更して再解析することでより良いフィッティングが行えるようになることがあります。 (以降ご回答)解析時の初期値によりT値やChi2がトレードオフになるというのは、複数のlocal minimumが存在するということになりますが、そういった事例は拝見したことがございません。 感覚的にはフィッティングが大きくずれてしまっているのではないかと思いますので、ぜひtech-jp@cytiva.comまで該当のデータをお問合せください。


MTLが実際にかかっているかどうかを確認するのはどうすればよいか?

前提として、MTLを完全になくすことはできません。できるだけMTLの影響を小さくすることで正しいkinetics解析を実施できるようになるとお考え下さい。 その上で、MTLの影響が大きいときはそもそもフィッティングが悪かったり、仮にフィッティングが良好だったとしても①結合相でセンサーグラムが直線的、②kaやkdのパラメータに生物学的妥当性がない(ka=1e9やkd=20などのように)、③フィッティング時にパラメータとして得られるtcあるいはkt(=tc*f^(1/3))といったマストランスポート係数が、分子量50kDa程度の球状タンパク質であれば、いずれも1e8以上、大きいだけMTLの影響は小さいと判断できます。

補足になりますがkaやkdのSE値のように各パラメータの10%以下が良いフィッティングなのとは真逆で、tcのSE値は大きいほど良いです。 またBiacore™T100,T200,S200ではCheck kinetic dataの機能も利用できます。Check kinetic dataはMTLの影響を視覚的に判断できる機能で、既存の1:1 binding modelでのみ使用できます。解析結果ウィンドウの右上にある、ToolsボタンのCheck kinetic dataを選択してダイアログを開きます。ダイアログ上のスライダーを動かすとkaとkdの値が同時に1/10(赤)~10(青)倍に変わり、対応するセンサーグラムがシミュレーションされていきます。元々の黒色のセンサーグラムと比較して赤と青のセンサーグラムの形状が大きく変動するほど、kaやkdはMTLの影響をあまり受けていないと判断することができます。逆に変動が小さい場合はセンサーグラムのカーブは速度定数に依存しないことを意味していて、得られたパラメータにはその相互作用のkinetics情報が含まれていないと判断できます。

もし別の実験を実施されても良いのでしたら、流速を変えて測定いただくのもひとつの手段です。MTLの影響が大きいということは、アナライトの供給が間に合っていない状況を指しますので、流速を早くする(~100uL/min)ことで供給速度が上がるため、センサーグラムの形状が変化します。逆に言えばMTLの影響が小さいならば流速を変えてもセンサーグラムの形状は変化しません。


Bivalent analyte modelのka2とkd2はどのように使えばいいですか?

現実的に使い道は難しいかと思います。


解離が遅い時には解離時間をどれぐらい取ったほうが良いという目安は無いですか?

最高濃度のデータにおいて、解離直後から10-15%程度解離していれば解析は良好に実施可能ですが、kdが1e-4以下となってきますとそれほど長い時間待つのは現実的でないため、5%程度の解離で解析される方もおられます。 補足ですが、解離が遅いサンプルはゼロ濃度のデータの差し引きにより解離量がぶれやすいため、ゼロ濃度の再現性は極めて重要ですのでご注意ください。


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