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細胞内情報伝達のライブイメージング

京都大学大学院 生命科学研究科 高次生命科学専攻 認知情報学講座 生体制御学
教授 松田 道行

この四半世紀の間に遺伝学・分子生物学・生化学の手法を駆使して、細胞内情報伝達に参加する分子を同定する作業が世界中で行われ、信号伝達ネットワークマップの骨格がほぼ確立された。しかし、これまでの研究成果のイメージは、"遺伝子マップ、情報伝達マップ"という言葉に象徴されるように定性的かつ静的なものであり、ダイナミックな時空間情報が致命的に欠けている。これからの生物学研究がシステム論的に進むことは疑いないが、そのためには、時空間変化がどのように制御されているかを知ること、そのための方法論の確立が急務である。演者らは、蛋白の活性や脂質の分布が細胞内でどのような時空間変化をするかを、蛍光蛋白を使った手法で解析し、その結果をもとにした動態シミュレーションを行っている。本講演では、細胞内情報伝達系の解析を、"シミュレーションのためのパラメータを得る"という視点から発表したい。

演者らの研究室で主として用いているのは、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence resonance energy transfer, FRET)の原理に基づく分子プローブ群である。このプローブは、蛋白の構造変化を指標に分子の活性を調べたり、脂質の濃度を測定したりすることを可能にする。まず、FRETの原理およびその測定のための分光光度計、蛍光顕微鏡、フローサイトメーターなどを用いた手法を簡単に解説する。ついで細胞増殖因子情報伝達系の活性化状態をモニターするプローブ群を例にとり、FRETプローブの作動原理を説明し、最後に、この手法が有する現在の問題点と将来への展望について俯瞰したい。


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