GEヘルスケア ライフサイエンスはCytiva(サイティバ)となりました - 『プレスリリース(英語)はこちらから』
2019-04-18 11:00:00
人に由来する試料を検体とし、検体中の物質等を検出又は測定する診断薬においては、分子同士の相互作用を利用した反応系が採用されています。そのため、相互作用する分子の結合/解離の速度定数(kinetics)と結合の強さ(Affinity)などの情報がより効率的で、感度の高い製品の開発に役に立ちます。
これらの結合、解離定数の測定装置の一つにBiacoreがあります。Biacoreでは相互作用をみたい物質のうち一方(リガンド)をセンサーチップの金薄膜上に固定し、センサーチップの裏側から金薄膜とガラスの境界面折率の変化により、SPRシグナルの位置がIからIIにシフトします。逆に結合が解離するとシグナルの位置はIIからIに戻ります。
BiacoreシステムはIからIIにシフトする量、すなわちセンサーチップ表面での質量変化を縦軸にとり、質量の時間変化を測定データとして表示します(センサーグラム)。センサーグラムのカーブからカイネティクス:結合速度定数(ka)と解離速度定数(kd)を、2つの定数の比からアフィニティー(KD)を求めることができます。
Biacoreは診断薬の研究や開発のみならず品質管理など、幅広い分野で活用いただけるシステムです。下図はイムノクロマトを例に、診断薬の原材料となる抗体のスクリーニングから製品化までの各ステップにおいて、どのようなシーンでBiacoreがお使いいただけるかマッピングしたものになります。
図の中のテキストが見づらいかと思いましたので、お使いいただけるアプリケーションを下記に再度記述してあります。さまざまな用途でお使いいただけるのがお分かりいただけると思います。
抗血清評価
一例で診断薬用抗体の選別作業における活用例をご紹介します。ELISAの選別において、マイクロプレートに抗原を固相化し選別対象のモノクローナルIgG抗体を反応させ標識二次抗体で検出する間接法の場合で考えますと、IgGは2価のパラトープを持つためにアフィニティーよりもはるかに強い親和力のアビディティーを検出することになります。一方Biacoreの場合ですとMouse Antibody capture kitなどを用いて抗マウス抗体を固定化したセンサーチップ上にIgGをキャプチャーさせて抗原を添加する系を組むことができ、この時は抗体の1つのパラトープに対する抗原のエピトープを検出することになり、アフィニティーを解析できます。
また、エンドポイントアッセイではなくリアルタイムに結合・解離の状態をモニターできるため、例えばイムノクロマトのような非常に短い相互作用時間しか取れない検出系に向いた、速く結合する抗体を選別するのにご利用いただけます。抗体のスクリーニングのアプリケーションノートもご用意しておりますのでよろしければご覧ください。
診断薬分野におけるBiacoreについて、詳細をご要望の際は、こちらから「診断薬におけるBiacore詳細希望」とご記入の上お問合せください。