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IN Cell Analyzer 1000を用いたGFP FRETカルシウムアッセイはじめにGFPはオワンクラゲAequorea victoriaに由来する蛍光タンパク質で、細胞内のタンパク質分子に融合させることで、細胞におけるイメージング解析に広く用いられています。近年、GFP遺伝子の変異によりCFP(Cyan Fluorescent Protein)やYFP (Yellow Fluorescent Protein)などが作製されています。また、CFPとYFPを適切な距離・角度で配置させることで、FRET(Fluorescent Resonance Energy Transfer:供与体のCFPを励起すると、その励起エネルギーが受容体のYFPへ移動する現象)が起こることが知られています。 cameleon(図1)は、このFRETを元に開発された世界ではじめてのバイオセンサーです(1)。カルシウムの結合に依存して相互作用するカルモジュリンとM13ペプチドが連結されており、細胞内のカルシウムを測定できるカルシウム指示薬です。今回の実験では、CFPとYFPの相対的角度を変え、さらにYFPにはN末側とC末側を逆にして連結させる円順列変異をおこない、ダイナミックレンジを改善したYC3.60を用い(2)、ATP刺激によって生じる細胞内のカルシウム濃度の変化をIN Cell Analyzer 1000を用いて解析しました。
使用した機器、試薬機器
試薬YC3.60 / pEB5 HeLa S3
Assay-Medium
Agonist
試薬Growth-Medium
Assay-Medium
2×ATP Solution
実験方法cameleonベクターYC3.60 / pEB5をHeLa S3に遺伝子導入し、安定発現させた細胞株を用いました。Growth-Mediumを用いて、この細胞を8,000 Cells/wellの密度で96ウェルプレートに播種し、一晩培養しました。その後、Growth-MediumをAssay-Mediumに交換し、IN Cell Analyzer 1000によるアッセイを行いました。 細胞が播種されたプレートとは別に、0.02~200 μM ATPが分注された96ウェルプレートを用意し、IN Cell Analyzer 1000により終濃度0.01~100 μM のATP添加(リキッドハンドリングオプション)および細胞イメージの撮り込みを行いました。細胞イメージはATP添加前および添加直後から2秒間隔で2分間の取り込みを行いました(図2)。
得られた細胞イメージはIN Cell Developer Toolboxを用いてイメージ解析を行い、CFPおよびCFP-YFPのシグナル強度を数値化しました(図3)。続いて、CFP-YFP/CFP Ratioの計算を行い、GFP FRETによるカルシウム濃度の経時的変化を測定しました。
結果および考察YC3.60 / pEB5を導入したHeLa S3株に対し、0.01 ~100 μM ATPを処理し、IN Cell Analyzer 1000を用いてcameleonのシグナルから細胞内のカルシウム濃度の変化の違いを解析しました。その結果、10 μM以上のATP濃度において最大活性が認められました(図4)。得られた画像から、画像解析ソフトウエアIN Cell Developer Toolboxを用いて、蛍光シグナルの数値化を行いました。その結果、試薬添加直後にCFPシグナルの減少およびCFP-YFPのFRETシグナルが急激に増加しました(図5)。また、CFP-YFP/CFP値によりカルシウム濃度の変化は刺激を加えたATP濃度に依存していることが確認されました(図6)
まとめ今回、cameleon カルシウム指示薬を用いた実験から、IN Cell Analyzer 1000を用いてGFP FRETが測定できることを示しました。また、得られた細胞イメージを解析することにより、ATP濃度に依存して生じる細胞内カルシウム濃度の変化が確認できました。IN Cell Analyzer 1000にはリキッドハンドリングモジュール(Liquid Handling Module)と温度コントロール(Temperature Control Module)が搭載されており、応答性の速いカルシウムアッセイを測定するために有効なシステムであることが分かりました。 参考文献
※ サンプルは、独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター 先端技術開発グループ 細胞機能探索技術開発チーム 宮脇 敦史様、永井 賢治様、下薗 哲様よりご提供いただきました。 |
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