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IN Cell Analyzer 2000を用いた肝臓切片ポピュレーション解析

はじめに

IN Cell Analyzer 2000はマイクロタイタープレートやスライドに播種された細胞の違いを、画像情報から測定するイメージングサイトメーターです。接着細胞や組織切片であっても細胞を剥離したり、ばらしたりせずにフローサイトメーター様のポピュレーション解析が可能です。

今回、各種遺伝子導入を行ったマウス肝臓における、薬剤投与により誘導される肝幹細胞(オーバル細胞)のポピュレーション変化について、肝臓切片を用いたイメージングサイトメトリー解析を行いました。

図1 IN Cell Analyzer 2000 インターフェイス
図1 IN Cell Analyzer 2000 インターフェイス
解析対象の撮影視野を設定する前にスライド全体をプレビューし(A)、プレビュー画面上で視野設定を行うことが可能です(B)。

実験内容

使用した製品

  • IN Cell Analyzer 2000
  • Slide Handling Module
  • IN Cell Investigator Software
    • IN Cell WorkStation
    • Developer toolbox

サンプルおよび試薬

  • マウス肝臓切片
  • 3,5-dietoxycarbonyl-1,4-dihydro-collidine
  • Hoechst™ 33342 (SIGMA B2261)
  • Anti-Cytokeratin 19 抗体 (original)
  • Alexa Fluor™ 488 donkey anti-rabbit IgG(Invitrogen A21206)

肝臓に各種遺伝子を導入したマウスに、一定期間の薬剤投与を行った後、肝臓切片を作製しました。続いて、肝幹細胞(オーバル細胞)のマーカーである抗Cytokeratin 19(CK19)抗体による免疫染色を行い、IN Cell Analyzer 2000による画像取り込みおよび画像解析ソフトウェアIN Cell Investigator Softwareによる解析を行いました。

IN Cell Analyzer 2000では、プレビュー機能を用いてスライド全体像を一度確認した上で、解析対象とする視野の選択が行えます。そのため、マイクロタイタープレートのように規則的にサンプルが並んだものでなく、スライド上に、多少不規則に並べられたサンプルであっても容易に撮影・解析が行えます。

結果

撮影画像および解析結果

large-chip CCD カメラ(400万画素)と20×レンズを用いて、従来システム(100万画素)の4 倍の視野面積で組織切片の撮影を行うことが可能です(図2,3)。撮影された画像は、10 種類の解析テンプレートを持つ解析ソフトIN Cell WorkStation のうち、サイトメトリー解析を行うテンプレートとしてMulti-Target Analysis を用いて解析しました。 その結果、遺伝子導入したマウス肝臓切片において、CK19陽性細胞の割合が増加していることが確認されました(図4)。

A B C
D E F
図2 large-chip CCD カメラと20×レンズを用いた、マウス肝臓切片画像
(上段A-C) Hoechst™(青)、CK19-Alexa 488(緑)、
(下段D-F) 透過光、(A、D)Control、(B、E)Gene 1、(C、F)Gene 2

A B C
D E F
図3 large-chip CCD カメラと20×レンズを用いた、マウス肝臓切片画像(一部拡大)
(上段A-C) Hoechst™(青)、CK19-Alexa 488(緑)、
(下段D-F) 透過光、(A、D)Control、(B、E)Gene 1、(C、F)Gene 2

図4 導入遺伝子によるCK19陽性細胞の割合に対する影響(細胞ポピュレーション解析)
図4 導入遺伝子によるCK19陽性細胞の割合に対する影響(細胞ポピュレーション解析)
(A)テンプレート型解析ソフトIN Cell WorkStationによる画像認識の様子、CK19陽性(緑)、CK19陰性(赤)、
(B-D) CK19陽性細胞の分布、(E-F) CK19陽性細胞の割合、(B,E)Control、(C,F)Gene 1、(D,G)Gene 2

続いて、large-chip CCD カメラと2×レンズを用いて肝臓切片全体を撮影し(図5)、汎用解析ソフトDeveloper toolboxによりCK19シグナル陽性領域が占める面積の割合を求めました(図6)。CK19陽性細胞は門脈周辺に特に多く発現することが知られているため、切片全体に対するCK19シグナル陽性領域が占める面積の割合および管状組織周辺におけるCK19シグナル総蛍光量を求めました。いずれにおいても、遺伝子導入したマウスで増加が確認されました。

A B C
D E F
図5 large-chip CCDカメラと2×レンズを用いた、マウス肝臓切片画像
(上段A-C) Hoechst™(青)、CK19-Alexa 488(緑)、(下段D-F) 透過光、(A,D)Control、(B,E)Gene 1、(C,F)Gene 2

図6 導入遺伝子によるCK19陽性細胞の割合に対する影響(面積割合解析
図6 導入遺伝子によるCK19陽性細胞の割合に対する影響(面積割合解析)
(A)汎用解析ソフトDeveloper toolboxによる画像認識の様子、肝臓切片全体(黄)CK19陽性(緑)、管状組織周辺(赤)、
(B) CK19 陽性面積/肝臓切片面積、(C) 管状組織周辺CK19総蛍光量、(D)管状組織周辺CK19総蛍光量/肝臓切片面積
*各グラフのPositionは、(A-1)Control、(B-1)Gene 1、(C-1)Gene 2を示します。

まとめ

  • プレビュー機能により簡便に肝臓切片の撮影が行えました。
  • テンプレート型解析ソフトIN Cell WorkStationにより、CK19陽性細胞割合の変化が確認されました。
  • 汎用解析ソフトDeveloper toolboxにより、切片中のCK19陽性領域の割合の変化が確認されました。

データご提供

東京大学分子細胞生物学研究所
機能形成研究分野
宮島 篤先生 伊藤 暢先生



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