Cytiva

検索のヘルプ

Location:Home実験手法別製品・技術情報セルラーサイエンス

PDF
印刷用PDF

IN Cell Analyzer 2000を用いた血管内皮細胞の管腔形成評価

はじめに

ゲル上に播種した血管内皮細胞の管腔形成をIN Cell Analyzer 2000を用いて自動測定しました。管腔形成はゲル上で行うことが一般的ですが、ゲル表面は高さが一定ではないため、画像撮影時には工夫が必要です。IN Cell Analyzer 2000を用いた測定では、Extended Focus機能を用いて高さの異なる管腔の画像を取得することができます。また、オートフォーカス機能を活用することにより複数ウェルの自動測定が可能です。
今回は、得られた画像を用いて、形成された管腔ネットワークの長さ面積の算出を行いました。

図1 管腔形成サンプルの画像
図1 管腔形成サンプルの画像
左図:Extended Focus 機能により取得した画像
右図:左図の管腔領域を画像解析ソフトウェアにより自動認識させた画像

使用した機器および試薬

  • IN Cell Analyzer 2000(ラージチップCCD カメラ搭載モデル)
  • IN Cell Investigator(画像解析ソフトウェア)
  • 8ウェル チャンバースライド(Nunc™ 155411 Lab-Tek Chambered coverglass)
  • In Vitro Angiogenesis Assay Kit(Millipore™社、ECM625)
  • Huvec細胞(Sigma社、PKH26 Red Fluorescent Cell Linker によりラベル済みの細胞)

方法

  1. In Vitro Angiogenesis Assay Kitに付属のECMatrixを4℃で溶解後、キットのDiluent Bufferで希釈しました。
  2. 使用した8ウェルチャンバースライドの各ウェルに上記希釈液を50μl~200μl加えて、37℃でインキュベーションし、ECMatrixをゲル化させました。
  3. 10,000個のHuvec細胞を各ウェルに播種しました。
  4. 37℃で一晩培養しました。
  5. IN Cell Analyzer 2000を用いて管腔形成を確認し、画像取得を行いました。測定には×4の対物レンズを用いました。各ウェルでZ軸方向に50μmずつ移動させながら、7スライスの画像を取得しました(図2)。
  6. IN Cell Analyzer 2000システム付属の画像解析ソフトウェア(Investigator)を用い、画像解析を行いました。各ウェルで得たZ軸方向の7スライスの画像を用い、Extended Focus機能により1枚の画像を構築しました。これにより細胞の存在する高さによらず視野全体でフォーカスのあった画像を得ることができました(図3)。この画像を用いて、形成された管腔ネットワークの長さ、面積の算出を行いました(図4)。

図2 対物レンズ×4を用いて取得したウェル4の画像
図2 対物レンズ×4を用いて取得したウェル4の画像
Z軸方向に50μmずつ移動させながらZ1からZ7まで撮影。ゲルの表面は高さが一定ではないため、スライスによって視野内でフォーカスがあっている部分とあっていない部分の場所が異なります。

図3 (図2)の画像をExtended Focus機能により画像構築
図3 (図2)の画像をExtended Focus機能により画像構築
Extended Focus後の画像では、視野内のほとんどの部分でフォーカスがあっています。右図はウェル4の視野全体の画像、A、B、C は右図の3か所をそれぞれ拡大した画像です。

図4 画像認識の様子
図4 画像認識の様子
画像解析ソフトウェアInvestigatorを用いて、図3で得られた画像の管腔領域の認識を行いました。
ネットワークの全体の画像認識(B)だけでなく、太くなっている部分を抽出し、交差している部分の画像認識(C)や、交差と交差の間の領域の画像認識(D)も可能でした。
A:画像認識前
B:ネットワーク全体の画像認識
C:ネットワーク内の交差している部分の認識
D:ネットワーク内の交差部位と交差部位の間の認識

結果

今回は8ウェルチャンバースライドを用い8サンプルの測定を行いました。ウェル1からウェル8の各ウェルの画像は図5に示したとおりです。各画像から、それぞれのネットワーク長および面積を測定することができました。(図6)

図5 ウェル1~8の画像
図5 ウェル1~8の画像
A)Extended Focus後の画像  B)管腔領域の画像認識

図6 Extended Focus機能におより構築した画像から測定したネットワーク長およびネットワーク面積
図6 Extended Focus機能におより構築した画像から測定したネットワーク長およびネットワーク面積
A)ネットワーク長  B)ネットワーク面積 C)交差部位()、交差間部位()の面積

まとめ

  • IN Cell Analyzer 2000を用いてゲル上に形成された管腔の形状を数値化することができました。
  • ネットワーク全長の長さ、面積の測定だけでなく、交差部位、交差間部位それぞれの面積を測定することができました。ウェル毎に異なる実験条件で管腔形成を行った場合の、効果の差異を詳細に数値化することができました。
  • ゲルのように表面の高さが不均一なサンプルではExtendedFocus機能が有用でした。この機能により同一視野内で異なる高さに存在するターゲットでも視野中のほぼ全体にフォーカスのあった画像を得ることができました。
  • 各ウェルにゲルを充填した場合、ウェルごとにゲルの高さが異なるため、フォーカス面の高さもウェルごとに異なります。IN Cell Analyzer 2000のオートフォーカス機能を用いることにより、複数ウェルの自動測定が可能にになりました。

※ IN Cell Analyzer 2000は2013年2月をもちまして販売終了しております。後継機種IN Cell Analyzer 2200でも、同様の解析を行うことができます。

サンプルご提供

株式会社資生堂 新成長領域研究開発センター 様


お問合せフォーム

※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。