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二次元電気泳動のサンプル調製における注意点タンパク質解析手法の中でも、二次元電気泳動はサンプル調製(サンプル溶液の状態)が結果に占める重要度が高いです。塩をはじめとした泳動を阻害する夾雑物を、どのようにして除くかがポイントになります。タンパク質沈殿法や脱塩・バッファー交換を組み合わせて、効果的にサンプル調製を行いましょう。このページの目次 塩を徹底的に除く一次元目の等電点電気泳動でタンパク質のフォーカシングがうまくいかない原因のほとんどは、サンプル中に残存する塩にあります。 Immobiline™ DryStripを用いた等電点電気泳動では、SDS-PAGEに比べて塩による影響が大きく、サンプル中の塩濃度は10 mM以下に抑える必要があります。サンプルカップを用いたカップローディング法によるサンプル添加では、50 mMまで塩濃度を上げることができますが、可能かぎり塩は除去しましょう。 下図に泳動パターンに対する塩の影響を示しました。また、一次元目の等電点電気泳動中に「電圧が上がらない」、「BPB色素がゲルの端まで流れきらない」などの現象が見られる場合も、サンプル溶液中に塩が含まれている可能性が高いです。 このような場合には、泳動前に脱塩のステップを加えましょう。TCA/アセトン沈殿がよく用いられます。脱塩カラムなど担体を用いた脱塩方法では、サンプルの担体への非特異吸着が起こります。これを抑制するためには0.15M程度の塩の添加が必要ですので、あまり適していません。
塩以外に泳動を阻害する物質を以下に挙げます。
これらの物質もできるだけ除去する必要がありますが、多くの物質はTCA/アセトン沈殿、または2-D Clean-Up Kitにより除くことができます。 関連製品塩以外の不純物も徹底除去! 二次元電気泳動における不純物を徹底して除去することで、スポットパターンをクリアにします。発現量比較には欠かせません。 不純物の少ない試薬(ハイグレード試薬)を使うサンプル溶解バッファーや電気泳動に用いる試薬(例:尿素、チオ尿素、Tris、SDS)は、不純物の少ないハイグレードの試薬を使うことが望まれます。低グレードの試薬は荷電性・不溶性の夾雑物を含むことがあり、これらは泳動を阻害します。 尿素やチオ尿素はグレードの高い試薬であっても、微量の荷電物質を含むことがあります。イオン交換樹脂であるアンバーライト(Amberlite IRN-150L)を用いて処理することで、このような荷電物質を除くことができます。 アンバーライトによる清澄化 プロトコール
また、調製してから長期間保存した試薬では、泳動に悪影響を与える場合があります。凍結融解のくり返しは避け、一定期間内に使うようにします。 ※たとえば、弊社が推奨する二次元電気泳動用のサンプル溶液(30 mM Tris(pH8.5), 7 M尿素, 2 Mチオ尿素, 4%CHAPS, 5 mM酢酸マグネシウム)では、-20℃で3ヶ月間は保存可能です。 塩基性タンパク質の分離改善のためにpH7以上の塩基性領域では、通常サンプル溶液の還元剤として含まれるDTT(ジチオスレイトール)が作用しにくくなり、システイン残基の還元が不十分になります。システインの酸化はタンパク質間の非特異的な凝集や尿素との反応を引き起こし、泳動パターンには乱れが生じます。 できるだけ塩基性領域のタンパク質分離の改善するための、サンプル調製・サンプル添加法をご紹介いたします。 DeStreak Reagentsの使用従来の還元剤に変わるチオール修飾試薬であり、塩基性におけるタンパク質の非特異的酸化を防ぎます。システインの多い動物由来サンプルにも有効です。 下図にDeStreak添加の効果を示しました。塩基性側のストリーキングが明らかに改善していることがわかります。
Cup Loading Strip Holderによるサンプル添加 (IPGphor™利用の場合)Immobiline™ DryStripへのサンプル添加をカップローディングホルダー(Cup Loading Strip Holder)で行うことで、スポット分離が改善され泳動時間も短縮できます。 お問合せフォーム※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。 お問い合わせありがとうございます。 |
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