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Location:Home > 実験手法別製品・技術情報 > タンパク質サンプル調製・前処理 |
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分画・フラクショネーション解析したいタンパク質を濃縮するためには、「解析に不要なタンパク質をできるだけ除去する」ことが有効です。塩析、抗体、アフィニティー作用などを利用したフラクショネーションは、解析対象タンパク質の濃縮に役立ちます。これによって、発現量の少ないタンパク質をさまざまな解析に用いることができます。 このページの目次 フラクショネーションの必要性目的タンパク質の発現量が少ない場合、細胞から抽出したタンパク質をそのまま解析しても、発現量の多いタンパク質ばかりが検出されてしまい、目的タンパク質の情報が得られないことがあります。 フラクショネーションによって分画サンプルあたりの目的タンパク質の濃度が上がり、効率的に解析を行うことができます。プロテオミクス分野におけるフラクショネーションの重要性が高まり「ターゲッティドプロテオミクス -Targeted Proteomics-」、「フォーカスドプロテオミクス -Focused Proteomics-」といった分野が注目される中、いかに目的タンパク質を失わずに濃縮を行っていくかがポイントです。 タンパク質の性質による分画タンパク質の性質によって分画する手法を挙げます。 硫安分画(塩析)添加する硫安(硫酸アンモニウム)の%濃度を徐々に変えていき、濃度ごとに沈殿するタンパク質を分画する方法です。通常の硫安沈殿における注意点に加えて、局所的に濃度が上がらないように工夫する必要があります。硫安をあらかじめ乳鉢ですりつぶしておき、マグネティックスターラーなどで攪拌しながら硫安を徐々に添加します。 関連製品二次元電気泳動用サンプル以外にも使えます 塩強度・pH・温度をステップワイズ方式で変化させることで、最大7つのフラクションに分画できます。2D-PAGE以外にも利用できます。 溶液組成の変化による分離法バッファーpHの変化や界面活性剤の添加による溶解度の違いを利用して、分画が可能です。 ショ糖密度勾配遠心分離法遠心管内にあらかじめショ糖(スクロース)の密度勾配を形成させておき、遠心分離機を用いてそれぞれの物質がもつ沈降係数に応じて分離を行う手法です。界面活性剤のTriton X-100と組み合わせ、膜タンパク質やオルガネラ単位での分離方法として用いられています。 クロマトグラフィークロマトグラフィーは分離能の高さが魅力です。特にイオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィー(アフィニティーによる目的タンパク質の濃縮については下記参照)は、初期段階での分画に向いています。システムやカラムを用いなくとも、バッチ法やオープンカラムによる処理によって簡易的に分画することができます。 アフィニティーによる目的タンパク質の濃縮抗体やタグなどを利用したアフィニティー作用によって目的タンパク質群のみを回収します。解析の効率化に非常に有効な手法です。 免疫沈降抗体を用いて目的タンパク質のみを精製する手法です。抗体をあらかじめProtein A/GやNHS-エステル結合などで固定し、細胞抽出液などのタンパク質サンプルから目的タンパク質を単離します。しばしば目的タンパク質だけではなく、相互作用しているタンパク質との複合体を分離する方法(免疫共沈降)としても用いられます。 下記のプルダウンアッセイと比較すると、相互作用タンパク質をより細胞内の環境に近い状態で回収できることがメリットとして挙げられます。 弊社製品では、バッチ法・スピンカラムタイプ・96穴タイタープレートタイプのそれぞれに対応した免疫沈降用キットがございます。研究用途に合わせてお選びください。 免疫沈降用スピンカラム Protein G HP SpinTrap™ プロトコールマニュアルページからダウンロードしてご参照ください。抗体とProtein Gを架橋することで溶出液への抗体混入を防ぐ「クロスリンクプロトコール」もございます。 関連製品抗体とのクロスリンクにより抗体漏洩を防止 Protein Gと抗体を架橋するクロスリンクプロトコールでは、溶出サンプルへの抗体混入を防ぎ、目的タンパク質のみを効率的に回収します。 免疫沈降の条件検討に! Pritein A/Gの2種類のゲル担体がセットになっています。はじめて免疫沈降をする方や、精製条件の検討に最適です。 プルダウンアッセイ(Pull-down assay)プルダウンアッセイは相互作用タンパク質の探索や単離に用いられます。ビーズに固定したリガンドに対して細胞抽出液や相互作用タンパク質などを加え、リガンドとのアフィニティー作用で結合してくる相互作用タンパク質を回収する手法です。GST、His-tagなどのタグ付きタンパク質を利用して行う系が一般的です。 相互作用タンパク質(複合体)の回収という目的においては上記の免疫沈降法と同じですが、タグ付きタンパク質を大量発現させることができるため、微量発現タンパク質に関する知見を得る手法の一つとして、とても有用です。 関連製品小スケールでのGSTプルダウンアッセイに Glutathione Sepharose™ 4Bが充填されたスピンカラムのキットです。GST融合タンパク質でのプルダウンアッセイにも用いることができます。 GST融合タンパク質発現・精製の技術情報ページはこちら プルダウンアッセイ プロトコール下記ページをご参照ください。 不要タンパク質の除去による目的タンパク質の濃縮血清中のアルブミンなど、解析サンプルに多量に含まれるタンパク質によって、目的タンパク質の解析効率は著しく落ちてしまいます。このような不要なタンパク質を効果的に除去し、解析対象タンパク質のみを回収します。 (参考) カプリル酸沈殿/硫酸デキストラン沈殿/ポリビニルピロリドン沈殿抗体精製を行う際に、血清や腹水に多く含まれる夾雑物を沈殿させるための手法です。カプリル酸沈殿はフィブリン様の血液凝固タンパク質、硫酸デキストラン沈殿・ポリビニルピロリドン沈殿ではリポタンパク質などの脂質成分を沈殿させる作用があります。 カプリル酸沈殿 プロトコールカプリル酸(オクタン酸)沈殿はIgGを遠心上清に回収する方法(Russo, 1983)です。タンパク質凝集が抑制されるため変性の危険性が減り、ほとんど活性を失うことなく80~90 %の純度のIgGを回収できます。濃縮効果はないため、サンプル量の少ない腹水に向いています。
硫酸デキストラン沈殿 プロトコール2価陽イオン(通常はCa2+)存在下で、リポタンパク質と硫酸デキストランが複合体を形成して沈殿することを利用した方法です。
ポリビニルピロリドン沈殿 プロトコールβ-リポタンパク質やオイグロブリンを沈殿させる方法で、モノクローナル抗体活性を損なわない効果的なリポタンパク質除去方法です。
(参考) アルブミン・IgGなどの除去血清(血しょう)サンプルではアルブミン、IgG、フィブリノーゲンなどが総タンパク質に対して大きな割合を占めています。これらのタンパク質を除くことで、その他の低濃度タンパク質の解析や目的タンパク質の精製を効率的に行うことができます。 関連製品ヒト由来アルブミン・IgGを特異的に除去 担体にProteinG Sepharose™ HPとanti-HSA Sepharose™ HPを用いることで、低発現量のタンパク質およびアルブミン、IgGの近傍スポットの検出を容易にします。サンプル量・精製方法に応じて、上記二種類の製品をご選択いただけます。 スケールアップにも対応 アルブミンの除去に利用することができます。Blue Sepharose™ 6 Fast Flowを用いてスケールアップが可能です。 お問合せフォーム※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。 お問い合わせありがとうございます。 |
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