バイオダイレクトメール vol.36 細胞夜話
<第1回:E. coli K-12株の「K-12」の意味は?>
今をさかのぼること半世紀以上、後にノーベル賞を受賞することになるJoshua Lederberg(1925- )の研究室で、学生たちがBacterium coli(当時はEscherichia coliではなくBacterium coliと呼ばれていました)の栄養要求性突然変異株の作成に取り組んでいました。その中で、K-12の席にいた女子学生が、たまたま2種類の変異株を混ぜ合わせると、最少培地でも生育できる原栄養体ができることを発見しました。こうして見つかった雌雄接合可能な大腸菌は、彼女の座席番号にちなんでK-12株と呼ばれるようになりました。

Escherichia coli(E. coli) K-12株の発見については、さまざまな物語が伝えられています。中には米国の初等-中等教育制度の用語としてのK-12(Kindergarten-12 Grade:幼稚園から高校3年生まで)に関するものもあるようです。しかし、上記の座席番号の話に出てきたLederberg本人によると、座席番号の話も、学校の学年の話も、「伝説」であり、事実とは異なるそうです。
Lederbergによると、この菌自体は1922年にスタンフォード大学でヒトの糞便から分離されたものであり、K-12というのはスタンフォード大学のコレクションの管理番号だそうです。
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