バイオダイレクトメール vol.27 Technical Tips
<マイクロアレイのサンプル調製>
マイクロアレイは、細胞内で発現している遺伝子を網羅的に解析する手法です。細胞から抽出したRNAから調製した蛍光標識cDNAあるいはcRNAをスライド上のプローブとハイブリダイズさせて遺伝子発現の有無を調べます(詳しくはTechnical Tips vol.21をご覧ください)。蛍光標識cDNA(cRNA)の調製法にはさまざまな種類があり、実験の用途によって使い分けがされています。
cDNAの調製
直接標識法
逆転写酵素を用い、cDNA合成時に蛍光標識ヌクレオチドを取り込ませる手法です。反応ステップが少なくてすむため簡便性の高い手法として広く用いられています(図1左)。ただし、蛍光物質の種類によって酵素の取り込み効率にばらつきが生じ、シグナルが一定しないという問題があります。そこで弊社はReverse transcriptaseという逆転写酵素を採用し、Cy3、Cy5の取り込み効率の均一化を図っています(CyScribe First-Strand cDNA Labeling Kit)。
間接標識法
アミノアリル標識ヌクレオチドをcDNA合成時に取り込ませ、合成後アミノアリル基に蛍光物質を標識する手法です(図1右)。直接標識法より反応ステップが多い反面、標識効率の均一性が高くシグナルが安定するという点で評価され、近年一般的になりつつある手法です。弊社では間接標識用キットCyScribe cDNA Post Labeling Kitをご用意しています。また、アミノアリル-dUTPをすでに取り込ませたDNAをお持ちの場合はCyScribe Post Labelling Reactive Dye(CyDye™ NHS ester)とカップリング反応させることでCyDye™標識することが可能です。
図1. 直接標識および間接標識の標識手順の違い
参考:直接標識および間接標識の選択ガイド
|
CyScribe First-Strand cDNA Labelling Kit |
CyScribe cDNA Post Labelling Kit |
1反応あたりのmRNA量 |
1 µg |
0.5 µg |
CyDye™取込み量* |
30~100 pmol |
80~200 pmol |
Cy3/Cy5標識の均一性 |
ほぼ均一 |
均一 |
cDNA標識方法 |
1ステップ |
2ステップ |
*鋳型mRNA 1 µgあたり
cRNAの調製
IVT反応を利用した調製法
鋳型RNAから逆転写酵素でcDNAを合成し、更にRNAポリメラーゼで増幅しながらcRNAを合成します(詳しくはTechnical Tips vol.21をご覧ください)。増幅の過程が入るため微量のsRNAでも検出が可能になります。この方法は弊社プレアレイスライドCodeLinkで採用され、実績を上げています。