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インラインコンディショニング(inline conditioning, IC)ラージスケールクロマトグラフィーシステムへのReady-to-useフルイドマネージメント

近年、インラインコンディショニング(inline conditioning, IC)システムへの関心が高まっています。その理由としては、

  1. 比較的カスタマイズが容易であること
  2. 大容量の保存タンクの必要性が低くなること
  3. 経済的であること

などが挙げられます。ICシステムを、Ready-to-useプラスチックバッグ、プラスチックチューブ、コネクター類、および可動式プロセッシングステーションと組合せることにより、柔軟性のある液体ハンドリングを実現し、作業負担量を軽減し、経済性を促進します。Cytivaのディスポーサブルおよびシングルユース装置であるReadyToProcess™プラットフォームをフルイドマネージメントコンポーネントとして採用し、ラージスケールのインラインコンディショニングクロマトグラフィー構成における緩衝液調製やサンプル管理に使用しました。

はじめに

ディスポーサブルやシングルユースバイオプロセス設備への需要が高まり、パイロット/製造スケール設備は含有面積が比較的小さい機器から成るプラットフォームを基に建設されるようになりました。これに加え、バイオ医薬品生産の最近の手法では、正確な時間、適切な濃度および正確な流速での緩衝液供給の必要性が高まっています。これらの要求に対し、バイオ医薬品製造産業は大容量のタンクの代わりに、ICシステムの最新技術を発展させてきており、固定のステンレススチールタンクや配管の代わりに、Ready-to-useプラスティックバックやフレキシブルなチューブを使用することができます。
Cytivaは広範囲なReadyToProcess™プラットフォームを開発しており、バイオ医薬品製造においてplug-and-playを導入することに成功しています。

図1. ReadyToProcess™カラムをBioProcess™ ICシステムに接続しました。
図1. ReadyToProcess™カラムをBioProcess™ ICシステムに接続しました。緩衝液とサンプルの管理は、ReadyCircuit™ bagsなどのReady-to-use液体ハンドリングコンポーネントとチュービング、ReadyMate™無菌コネクター(ReadyMate™ Disposable Aseptic Connectors 、DAC)ReadyKart可動式プロセッシングステーションを組合せて使用しました。

このアプリケーションノートでは、BioProcess™とÄKTAprocess™システムのインラインコンディショニング(IC)としてのプロセス構築における緩衝液とサンプルの取扱いに関するソリューションをご紹介します。ICシステムは、インテリジェントパッキングを可能にしたAxiChrom™などのコンベンショナルカラム、または充填済みディスポーサブルタイプのReadyToProcess™カラムのどちらかで使用しました。また、ICシステムは、他のÄKTA ready™システムÄKTAprocess™へダイレクトに、またはシステムに接続したバッグを介して緩衝液を供給することもできます。
図1にはReadyToProcess™ 10 Lカラムを使用し、クロマトグラフィー精製の構成を示しています。サンプルおよび緩衝液の取扱いにはReadyCircuit™(たとえば、バッグとチューブは迅速に無菌的に、独立したコンポートメントとして接続可能)を使用しています。

液体ハンドリング構成

それぞれのバッグはICシステムのインレット/アウトレットに、ReadyMate™ DACの末端に接続したジャンパーを介して、ReadyMate™ DAC 750 mini TCで接続しています。2インチのULTA™ Prime SGが緩衝液ろ過用のバックに接続しています(図2)。

図2. ReadyCircuit™ 20 LバッグとReadyMate™接続アセンブリ。
図2. ReadyCircuit™ 20 LバッグとReadyMate™接続アセンブリ。全ての4個のバッグサイズ(表1参照)は内径3/8インチ、長さ3フィートのReadyMate™ DACを使用しました。3/8インチのチューブの末端にReadyMate™コネクターを接続したULTA™ Prime SGカプセルは、緩衝液ろ過のためのバックに接続しました。

各容積のバッグサイズと接続の部品については表1に記載しています。

表1. 緩衝液とサンプル管理に使用されたバッグと接続ンポーネント
表1. 緩衝液とサンプル管理に使用されたバッグと接続コンポーネント

表1に示した接続コンポーネントの代わりに、カスタム仕様のReadyCircuit™コンポーネントを使用することもできます。それぞれの溶液のバッグの大きさと接続コンポーネントは表1および2に掲載しています。

図3. カスタム仕様のCustom-made ReadyCircuit™ 50 Lバッグと3/4 TC接続アッセンブル。
図3. カスタム仕様のCustom-made ReadyCircuit™ 50 Lバッグと3/4 TC接続アッセンブル。表2に示した4種類のバッグサイズの全てで、内径3/8インチ、長さ5フィートのジャンパーに接続したReadyMate™を使用しました。2インチのULTA™ Prime SGカプセルを緩衝液ろ過のためのバッグに接続しました。

表2. 緩衝液およびサンプル管理構成に使用したカスタム仕様のバッグ。
表2. 緩衝液およびサンプル管理構成に使用したカスタム仕様のバッグ。全てのバッグには、長さ5フィート、内径3/8インチのC-Flex™チューブ、3/4インチTCコネクターが接続された2個のインレットと緩衝液フィルターを接続した1個のインレットがあります。

通常、それぞれのReadyCircuit™ジャンパーの内径は、導入したフローキットの内径、あるいはReadyCircuit™バッグのチューブの内径に合わせるようにお勧めしています。しかし、ご使用の溶液の流速や線流速によって、これを調節することもできます。
ジャンパーの長さはクロマトグラフィーシステムの緩衝液の位置に合わせて長さを変えることもできます。図4に示した例では、全ての溶液に内径3/8インチ、長さ3フィート(914mm)のものを使用しました。ReadyMate™ジャンパーは、1、3および5フィート(305、914、および1,524 mm)の長さで供給しております。カスタム仕様のReadyCircuit™ですと、長さはお客さまの仕様により決めることができます。
ReadyKartReadyToProcess™プラットフォームの一部です。作業量を軽減し効率を高めるためにデザインされた可動式プロセッシングステーションです。このアプリケーションでは、緩衝液システムのコントロールにReadyKartを使用しました。ここに示す構成では、2つのReadyKart standardを使用しており、1つはインレット側に、他の1つはReadyKart miniと200 L容器とともにアウトレット側に接続されています。このコンビネーションは全ての緩衝液やサンプルのハンドリングに適しています。
10、20 Lおよび50 LのReadyCircuit™は全てのオペレーションを容易にするためにトレーの上に置きました。5 Lのバッグは、調節可能な標準ReadyKartバッグハンドルに吊るしました。アウトレットは標準ReadyKart上の50 Lトレー上に置いた溶出バッグに接続しました。廃液を集める目的でバッグを使用することもできます。
このアプリケーションで使用したReadyKart構成部品は表3に記載しました。

表3. サンプルおよび緩衝液マネージメントに使用したReadyKart構成部品
表3. サンプルおよび緩衝液マネージメントに使用したReadyKart構成部品

 

BioProcess™あるいはÄKTAprocess™液体クロマトグラフィーシステムのインラインコンディショニング(inline conditioning, IC)へのアプリケーション―ReadyToProcess™カラムを用いて―

システム概要

ICシステムは種々の配置が可能で、重要プロセスパラメータをコンダクティビティー、pHあるいは流速、またはこれら3つを組合せて制御することができます。
UNICORN™に装備されているThe Programmable Logic Controller(PLC)は、複雑なconfigurationをもつICシステムとは独立していて、システムのオートメーションに寄与しています。

ICデザインの主要なコンポーネントは以下を含みます。

  • 希釈に関する要件より少なくも5つのポンプが選ばれました。対応する酸と塩基の濃縮液が水や塩溶液とともに使用され(WFI)、適切な緩衝液を調製します。サンプルは別のラインから添加されます。最適なパフォーマンスや制御を行うため、それぞれの成分は異なるポンプから供給されます。
  • それぞれのポンプに流量メータを装備することで、新しい緩衝液の調製開始時からの迅速かつ良好なコントロールを可能にしました。
  • 混合する液体の特性を考慮した最適な混合。
  • 混合の品質確認のためのコンダクティビティーモニター(適切な仕様であれば、ほかのインライン・モニターも使用可能)。

完全なオペレーティング構成は図4に示しました。

図4. ICの典型的なシステムデザインにおける流路図
図4. ICの典型的なシステムデザインにおける流路図

 

ÄKTA ready™システムを用いたプロセス―BioProcess™/ÄKTAprocess™液体クロマトグラフィーシステムをICとして使用―

システム概要

ÄKTA ready™は初期臨床研究のプロセススケールアップや生産に使用される液体クロマトグラフィーシステムです。このシステムはGLPやGMP環境下で使用を想定したなデザイン、機能、また、文書化機能を備えています。このシステムは、Ready-to-useのディスポーサブルフローパスを使用するので、オペレーション間、製品間、あるいはバッチ間で必要な洗浄工程を省略でき、洗浄工程の開発およびバリデーションを必要としません。ÄKTA ready™システムReadyToProcess™を使用することで、カラムのクロスコンタミネーションのリスクを除きます。

液体ハンドリング構成

ICシステムの緩衝液およびサンプル管理を、ICシステムのアウトレットにÄKTA ready™のインレットを接続することで、ÄKTA ready™システムへの緩衝液送液に使用することができます。ICシステムから直接ÄKTA ready™に送液する以外に、ICシステムによる緩衝液の調製およびバッグへの送液後、バッグをÄKTA ready™システムに接続して精製ステップに使用する方法があります。

結論

ディスポーサブルとシングルユースデバイスをダウンストリームクロマトグラフィープロセス、特に新しいパイロットスケールや生産設備に組合せることによって、以下のような利点があります。

  • CIP、蒸気滅菌(SIP)の削減やWFIの使用量の減少によるプロセス効率の向上
  • ReadyToProcess™製品およびICの使用による、保存タンクの数量やサイズの低減によるコスト削減

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