Cytiva

検索のヘルプ

Location:HomeWhatman

サンプルに適切なフィルター素材を選択する方法

フィルター素材の適合性は、日常的なサンプルろ過において軽視されがちです。
普段手元にある「ろ紙」や「シリンジフィルター」を使い、予想外の結果が出たときにはじめてろ過方法を見直したり、トラブルシューティングをしていませんか?

ろ過用のメンブレン素材には幅広い選択肢があります。ガラスや天然ポリマー、合成ポリマーなどがあり、それぞれ独自の特性を持ち、サンプルそれぞれに適した素材があります。

とりあえず手元にあるものを使ってみるのではなく、フィルター素材が持つ特性やメンブレンとサンプルの適合性をあらかじめ理解して素材を選択することにより、トラブルシューティングにかかる時間を最小限に抑え、ろ過効率を最大化できる可能性があります。

親水性メンブレンと疎水性メンブレンの違い

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの疎水性メンブレンは、あらゆる水溶性サンプルに対してろ過抵抗が高く、ろ過する際にバックプレッシャーが生じます。強い力を加えることでろ過できる場合もありますが、メンブレンが破れたり、完全なろ過ができないリスクがあります。

他に選択肢がない場合は、メンブレンをアルコールで予め濡らすことで、このバックプレッシャーを弱くすることができます。

一方、PTFEやほかの疎水性素材は、有機サンプルおよび有機溶媒のろ過に適しており、バックプレッシャーを生じません。しかしながら、いくつかの有機溶媒は、特に長時間接触することでメンブレン素材に吸収されることがあります。

吸収の結果、メンブレン素材が膨らみ、細孔サイズが縮小することで、フィルターの性能に影響を及ぼします。溶媒によっては化学的にメンブレン素材を腐食し、溶出物をろ液に放出するものもあります。まれに、溶媒がメンブレンを部分的または完全に溶解し、サンプルの漏出や汚染をもたらすことがあります。

水溶性サンプルはほとんどのメンブレン素材、特に親水性メンブレンにダメージを与える可能性は低いです。しかしながら、pHはメンブレンの適合性を決定する重要な因子です。

強酸性または強アルカリ性の溶媒は、メンブレンに瞬時にダメージを与えることが無い場合でも、時間の経過とともに影響を与える可能性があります。 そうした場合、PTFE のような非常に不活性なメンブレンだけが、高・低pHサンプルに適しています。

深層ろ過

粒子の保持という観点で、フィルターは2つのカテゴリーに分類されます。サーフェス(表面)フィルターとデプス(深層)フィルターです。 一般にメンブレンフィルターと呼ばれるサーフェスフィルターは、その表面で粒子を捕捉します。これらのフィルターは、粒子を多く含まないサンプルのろ過に適しています。一方で、粒子を多く含むサンプルをろ過すると、フィルター表面がすぐに目詰まりする傾向にあります。

トラックエッチポリエステルメンブレンのようなサーフェスフィルターで、粒子を多く含むサンプルをろ過した場合、バックプレッシャーが上昇し、強い力をかけることでメンブレンが破れサンプルが漏出する可能性があります。一方、デプスフィルターは、繊維マトリックス内に粒子を捕捉することができるので、粒子を多く含むサンプルのろ過に適しています。

ポリエーテルスルホン(PES)のような素材で作られた非対称型デプスフィルターは、その上部にオープンマトリックス構造を持ち、下部に向かってより微細なマトリックス構造を有します。この空隙率(体積あたりのすきまの割合)の勾配は、最初は大きな粒子を捕捉し、高密度なサンプルのプレフィルターとして作用することで、サンプル溶液のフローを維持します。

土壌サンプルのような粒子が多くろ過が困難なサンプルの場合、不織マトリックスフィルターは頑丈で精密なろ過を実現します。例えば、不織ポリプロピレン(NWPP)は、耐久性および粒子の高い捕捉能力を持ちます。

これらの不織マトリックスは一般に、レイヤー構造をもつ厚いパッド状で、目詰まりを最小限にします。その他の不織マトリックスフィルターの素材としては、ガラス繊維フィルターおよびセルロースフィルターなどがあります。

タンパク質結合およびサンプル抽出物

ろ過抵抗および目詰まりに加えて、メンブレンとサンプル溶液の適合性はろ液の組成に影響を及ぼします。メンブレンの素材がサンプル溶液に適したものでない場合、サンプル中に溶解する重要な物質がフィルターに補足されたり(タンパク質結合)、また不要な物質がフィルター素材またはハウジングからサンプル中に混入することがあります。

ナイロン(NYL)およびニトロセルロース(CN)などの特定の親水性素材は、高いタンパク質結合能を持ちます。この特性は、タンパク質の回収率やろ過後の分析に影響を与え、結果のばらつきや、予期せぬ結果を招く可能性があります。

しかしながら、再生セルロース(RC)および酢酸セルロース(CA)は、タンパク質を結合せず、タンパク質溶液をろ過するのに適しています。RCはまた、広い化学薬品耐性をもちます。RCはPTFEとともに常備しておくと便利な汎用オプションとなります。

メンブレンとサンプルの間に適合性がない場合、一般的な症状としてメンブレン素材からの溶出が見られ、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のような感度の高い下流の分析に影響します。 PTFE、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、およびRCは、HPLCで一般的に使用される広範囲の溶媒に適合し、溶出性が低い素材です。

化学薬品耐性表にはそれぞれのメンブレン素材の一般的な溶媒に対する耐性が記載されており、適した素材をすぐに見つけることができます。 適合性に基づいてフィルターの素材を選択することにより、ろ過速度の低下、無効なろ過、または溶出によるサンプル汚染などのリスクを最小限に抑え、ろ過効率を最大化することができます。

Whatman™メンブレン素材の簡易選択ガイド

※RC =再生セルロース、CA =セルロースアセテート、ME =セルロース混合エステル、 CN =ニトロセルロース、PVDF =フッ化ポリビニリデン、 PP =ポリプロピレン、NYL =ナイロン、 PES =ポリエーテルスルホン、 PTFE =ポリテトラフルオロエチレン、 H-PTFE =親水性PTFE、PC =ポリカーボネート
+++ 強い特性
+ 弱い特性
- 特性なし

用途別のフィルターをオススメ

フィルター材料の特性および化学薬品耐性についてのアドバイスは、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 


お問合せフォーム

※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。