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HPLCサンプル調製用の再生セルロース製メンブレンフィルター

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、目的に応じてさまざまな溶媒を使用する化学分析用の汎用技術です。

HPLC分析において、微粒子を除去するためのサンプル調製としてろ過を行うことは利点があります。

互換性の広いフィルターが有用なのは?

酸、塩基、および様々な有機溶媒などの溶液に対して、多種多様な材質のフィルターが利用されています。

再生セルロース(RC)などの、多くの溶媒に広く適合するフィルターを使用することより、ラボでのろ過操作に一貫性をもたらします。

個々のサンプルの希釈または遠心分離は、HPLCサンプル中の不溶性粒子を除去するのに十分であるかもしれません。ろ過デバイスを使用したサンプルのろ過は、不溶性粒子をフィルターにより物理的に分離することが可能で、不規則なクロマトグラムのピークを防ぐことができます。Whatman™のシリンジフィルターとシリンジレスフィルターは、オートサンプリング用の複数サンプルの前処理にお勧めです。

複数のサンプルにわたって同じ素材のフィルターを使用することにより、分析結果のバラツキとなる原因をなくし、誤った結果が出た場合の原因調査を簡単にし、フィルター選択の時間も短縮します。

メンブレンフィルター、シリンジフィルターといった複数のデバイスで同じ標準メンブレンを使用することができますので、移動相のろ過、サンプルろ過、自動または手動のろ過、これらの条件にかかわらず、同じ素材のメンブレンを使用することができます。

再生セルロースとは?

再生セルロースは、湿潤剤を添加しない純粋なセルロースから製造されています。

まず、セルロース原料を可溶化し、キャスティングを行うことにより、均一で再現性の高いろ過特性を持ったメンブレンを得ることができます。

この製造プロセスにより、自発的なぬれ特性と有機および水性溶液との適合性をもつ親水性メンブレンが生成されます。

また、再生セルロースメンブレンは機械的に安定であり、良好な湿潤強度を持ちます。

再生セルロース製フィルターによりHPLCサンプル調製を簡便に?

再生セルロース製フィルターは、酢酸、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、エタノール、エーテル、メタノール、THF、および水といった広範囲の溶媒に適合します。

この広い溶媒適合性により、ろ過のワークフローを簡素化することができます。また再生セルロースは、溶出物のレベルが低いという特徴を持っています。

これら溶出物はフィルターから溶出し、試料中の分析対象の化合物と同じ波長の光を吸収することで測定に影響を及ぼす可能性があります(表1)。溶出物のレベルを下げることにより、HPLCデータへの干渉を最小限に抑えることができます。

表1. 再生セルロースシリンジフィルターからのUV吸収物質の溶出レベル(SPARTAN™シリンジフィルター)

Solvent
Product
Water Methanol Acetonitrile
214 nm 254 nm 214 nm 254 nm 214 nm 254 nm
SPARTAN™  30 mm, 0.45μm - mAU
9.5
1.4 5.7 3.7 4.5 1.9
SPARTAN™ 30 mm, 0.2 μm - mAU
2.8
2.8 4.2 3.1 5.4 1.6
SPARTAN™ 13 mm, 0.2 μm - mAU
1.0
0.3 3.0 1.3 0.8 0.8

フィルター選択を考えるうえで、もう一つ重要な要素は、フィルター材料のタンパク質結合特性です。

高レベルの非特異的タンパク質結合特性を持つフィルター材料の使用は、タンパク質の回収率を大幅に減少させます。

この回収率の低下は、分析に利用可能なタンパク質の量を減少させ、Signal/Noise比を低下させることによって、実験の結果に悪影響を及ぼす可能性があります。

再生セルロースフィルターデバイスは、タンパク質結合性が低く(表2)、タンパク質の定量を行うサンプル調製に適しています。

GD/Xフィルターなど、ろ過が困難なサンプルを調製するために設計されたフィルターはプレフィルターを備えており、他のフィルターに比べてデットボリュームが多いため、サンプルの回収率が低くなります。

表2 再生セルロースフィルターの高いタンパク質回収率 ウシ血清アルブミン(BSA)モデル溶液のろ過例

Filter device
Recovery of 1 mg/mL BSA (%) SD Sample loss (μg) Recovery of 0.5 mg/mL BSA (%) SD Sample loss (μg)
SPARTAN™ 13 mm, 0.2 μm
98
0.6 40 97 0.3 26
SPARTAN™ 13 mm, 0.45 μm
99
0.7 21 99 0.9 9
Whatman™ GD/X™  25 mm RC, 0.2 μm
86
1.9 284 78 2.2 222
Mini-UniPrep™ PP, RC, 0.2 μm
95
0.9 20 94 2.5 11

再生セルロースメンブレンを使用しているろ過デバイスのご紹介

Whatman™の多くのろ過デバイスで再生セルロースメンブレンが使用されています。これらのデバイスには、プレフィルターを備えたGD/Xシリンジフィルターと、オートサンプラーにそのままセットできるシリンジ不要のフィルター一体型ろ過バイアル(シリンジレスフィルター)、Mini-UniPrep™Mini-UniPrep™ G2があります。また、SPARTAN™シリンジフィルターはHPLCでの使用を想定し、バッチ毎のブランクデータ(精製水、アセトニトリル、メタノールのブランクデータ)を提供しています。

マンスリーカタログ HPLC処理用フィルターカタログ

2018年5月号マンスリーカタログでは、HPLCサンプル調整に適したシリンジフィルターを紹介しております。各フィルター素材を備えた汎用シリンジフィルターのプラディスク、フィルターとバイアルが一体になったミニユニ、目詰まりしやすいサンプルのためのGD/Xシリンジフィルター、加えて化学薬品耐性表を掲載しております。あなたのサンプルに適したフィルターがきっと見つかります。

フィルター材料の特性および化学薬品耐性についてのアドバイスは、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 


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