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Life Sciences Day ポスター賞受賞者インタビュー(2/3)
結果だけでなく機器の使用方法や実験の過程についての熱い議論ができました

国立がん研究センター東病院 臨床開発センター
新薬開発分野 松村研究室

佐藤 隆太 様

ポスターの内容をご説明いただけますか?

当研究室では血液凝固因子の薬剤のデリバリーツールとしての利用を考えています。がんは浸潤、転移において組織損傷を伴います。血管で組織損傷が起きた場合、すぐに血液凝固系が働きますが、無限増殖能のあるがんは永続的に組織の損傷を引き起こすため、出血・凝固のサイクルを繰り返すことになります。そこで、私たちは血液凝固因子に対する抗体を作製し、がんをターゲットにしたデリバリーツールとして用いることを考えました。

本ポスターは、血液凝固の開始因子といわれているTF(Tissue Factor:組織因子)に着目した内容になっています。まずTFに対する抗体を作製し、組織への浸透性の増加や体内の免疫機構によるトラップを避けるため、scFv化しました。ポスターではこの抗体の作製と性状解析を取り扱っています。

がんの診断薬、および製剤としてscFv化するうえで苦労された点はありますか?

低分子の抗体は多くの場合大腸菌で発現させますが、目的タンパク質が不溶性画分に発現してしまう問題があります。目的タンパク質の精製のために変性剤を用いることで失活する、あるいは可溶化したサンプルが正しくリフォールディングされないなど、活性を保ったタンパク質の収量は低くなりがちです。

私たちの研究でもやはり不溶性画分にscFvタンパク質が発現し、培養条件やリフォールディングのバッファーを検討することになりました。サンプル調製では数々の難関があったもののBiacore™での測定はスムーズに進めることができました。回収できたサンプルの活性は維持できていたため、低収量でも相互作用を確認できました。

どのような場面でBiacore™を使用されたのでしょうか。

主に作製したscFvの活性を確認する用途で使用しました。評価では、はじめTFとwhole IgGとの結合を見たのですが結合が非常に強くほとんど解離しないことがありました。従来のマルチサイクルカイネティクスだと再生条件の決定が難しいかもしれませんが、Biacore™ T200に導入されているシングルサイクルカイネティクスで測定することで再生条件の検討もなくなり、実験時間も短縮されるメリットがありました。

scFv抗体化するにあたり、配列の元となったwhole IgGと比較して親和力が低下することが懸念されましたが、Biacore™でKD値を測定し、使用に耐えうることが確認できました。今後はこのscFvに抗がん剤や造影剤を付加することを考えています。付与物による親和力への影響の測定にも、kd情報を得ることができるBiacore™を使いたいと考えています。

scFvの評価をBiacore™以外の技術で行われたことはありますか?

Biacore™の他にELISA、蛍光ラベルを用いた免疫組織染色、FACS™を行っております。scFvの活性の有無はBiacore™で測定しており、ELISAについてはバックアップのツールとして用いています。調製したサンプルの良し悪しを判断できるのでBiacore™を使った実験は一番興味深かったですね。

インタビュー風景

» CytivaのWebサイトやサポートを活用してBiacore™を習得

 

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