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NGSワークフロー:コスト削減に役立つ「10のヒント」

By Andrew Gane, Product Strategy and Technology Manager, Genomics and Diagnostic Solutions

シークエンシングに必要なコストと時間を削減することにより、アカデミアから産業界まで、より身近なゲノムレベルでの詳細な解析を実現した「次世代シークエンシング(NGS)」。本記事では、「NGSをもっと使いやすくする」ワークフローコスト削減のための「10のヒント」を紹介します。


ヒトゲノムプロジェクトの完了以降もDNAシークエンシングは進歩し続けています。NGSは今、ラボで不可欠なツールです。ただ、NGSを行うために、まだかなりのコストがかかってしまうのが現状です。

サンプルやライブラリーの調製、シークエンシング、データ解析。基本の3ステップに加えて、テラバイト(TB)以上の膨大なデータの保存など、すべて「コスト」と「非効率性」の原因となります。それでは、どのようにしてコストを抑えつつ、「スケーラビリティ」と「データの信頼性」を両立して向上させることができるのでしょうか?

ここでは、NGSワークフローのコストを削減するための「10のヒント」を紹介します。シークエンシングの頻度が低い場合も、ハイスループットプラットフォームで実行する場合も、いずれの場合でもここで紹介するヒントを活用することができます。

ヒント① NGSを使ってみよう!

サンガー法がアカデミアや企業において長らく利用されていますが、NGSはまだトライしていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?まず、NGSをお試しすることをおすすめします。

短いベクターまたは遺伝子編集インサートの挿入を確認したり、単一遺伝子の配列を決定する場合、またベーシックなマイクロサテライト解析を実行する場合などは、サンガー法が最適です。

一方、染色体全体またはゲノム、新規変異体の配列決定などが対象の場合、NGSはかなり包括的なデータアウトプットを提供します。小規模なNGSプラットフォームでのアンプリコンシークエンシングでは、スループットの範囲内での理想的な解析手法となります。

NGSには、新しい可能性が待っています。この後紹介するヒントでも解説するように、NGSを始めてみるのに多くの専門知識は必要ありません。また、サンガー法よりも、1 kbあたりのコストは大幅に低くなります。

ヒント② サードパーティ製品を試してみよう

シークエンシングサービスやプラットフォームベンダーは、ほとんどの場合、サンプルおよびライブラリー調製用のキット、多くの場合は「独自の調製キット」を推奨しています。これらの純正キットは、利用するプラットフォームに最適化されていると謳われているかもしれません。しかし、サードパーティの消耗品はより費用対効果が高く、ベンダーキットと同等もしくはそれ以上の性能を発揮できる製品もあります。

サードパーティキットを使用すると、フレキシブルに実験を組み立てることができます。また、パフォーマンスやワークフロー、結果など、その状況に合わせて選択肢を増やすことができるため、コストを抑えながら効率化を図ることも可能になります。

たとえば、DNA抽出プロセス、サイズセレクション、PCRクリーンアップ、サンプルおよびライブラリー調製の基本ステップに、「磁気ビーズ」を使用することができます。それぞれの工程で別々の試薬ではなく、磁気ビーズベースのキットを一連の工程で使用して、「シングルソリューション」と「自動化ワークフロー」を実現することができます。詳細は、以下のブログをご覧ください。

ヒント③ サンプルおよびライブラリー調製に「磁気ビーズ」を使う

NGSワークフローにおいて、この磁気ビーズがいかに「汎用性が高いか」ご紹介します。

磁気ビーズは、カラムベースの精製の代替として、DNA抽出、サイズセレクション、およびPCRクリーンアップに最適です。そして、スケールアップや取り扱いもフレキシブルです。

磁気ビーズのアプローチにより、抽出とサイズセレクションの工程が大幅にシンプルになります。同時に、スタッフ間やラボ間で発生する作業の一貫性も保つことができるようになります。

磁気ビーズは、マルチプレックスシークエンシングのライブラリー調製も簡素化でき、そして容易に自動化することも可能です。詳細は、以下のブログをご覧ください。

ヒント④ 「Phi29ポリメラーゼ」を使う

NGSのワークフローは、サンプルを大量に消費しバラつきも伴うため、サンプルが貴重で供給量が限られている場合には課題となります。サンプルDNAの増幅工程は多くの場合、必要な解析を行うために不可欠です。繰り返してシークエンシングが必要な場合、十分なサンプル量を確保するための安全性の担保にもなります。

従来のアプローチであるPCR法では多くの場合、最適化が必要です。プライマーは、ゲノムのある一部の領域に優先的に結合してしまいます。したがって、サーマルサイクリングにはバイアスがあり、試薬の品質や使用するサーマルサイクラーによってその程度は変動してしまいます。

DNA合成酵素「Phi29ポリメラーゼ」は、ランダムプライマーを用いた信頼性の高い環状DNAおよび線形DNAの等温増幅が可能です。30°Cで短時間反応させると、pg(ピコグラム)オーダーのシングルセル由来のDNAを配列決定用のµg(マイクログラム)まで増幅させることができ、70 kb以上のフラグメントがほとんどです。

ハイフィデリティかつ高性能なポリメラーゼ「Phi29ポリメラーゼ」は、DNA増幅プロセスの不明瞭さを取り除き、PCRへの依存度を最小限に抑えて、増幅ステップの信頼性と効率を向上させることができます。

ヒント⑤ NGSワークフローを「自動化」しよう

以前より、導入コストが低くなってきている「自動化」。ベーシックな自動試薬分注システム(自動サンプル調製システム)を導入するのに、クリーンベンチ以上のスペースは必要ありません。

基本的なタスクを自動化することで、作業時間を短縮し、他のプロジェクトのためにチームメンバーを単純作業から解放することができます。そして、ワークフローの全体的なスピードアップを図り、エラーの可能性を減らすことができます。詳細は、以下のブログをご覧ください。

ヒント⑥ 自動で「サンプルを追跡」する

前述の自動化と同様に、サンプルとそのプロパティのデータベースを「バーコード」を使用して追跡・管理することは、何も大規模な施設のためだけではありません。2つのサンプルを混ざっていたり、データに誤ってラベリングしたりその結果は、シークエンシングサービスプロバイダーと同様、アカデミアや産業界いずれの立場であっても、ユーザーにとって問題です。

手作業でサンプルにラベルを付け、その詳細をノートに記録するやり方は、少ない数であれば十分に機能するでしょう。ただし、バッチとデータベースが膨大になると、エラーが発生する可能性が高まります。こうしたエラーが発生してしまうと、サンプルの収集→準備→シークエンシング、と再度やり直しになり、時間もリソースも無駄になってしまいます。

バーコードとリーダーは容易に入手可能で、交差汚染(クロスコンタミネーション)やサンプルの混同リスクを軽減します。多くのエントリーレベルのプレート処理および保管システムにもバーコードリーダーが組み込まれているため、小~中規模サイズの施設でも自動サンプル追跡のメリットが得られます。

ヒント⑦ 1ウェル当たりの体積を減らす

特に手作業でサンプル処理する場合は、96ウェルプレートで作業するのが一般的です。8チャンネルピペットを安定に持ち作業することで、シーケンシング用のサンプルプレートをすばやく簡単に準備することができます。

ただし、サンプルバッチが大きくなる見込みがある場合や、すでに自動化を検討している場合は、384ウェル形式に切り替える価値もあります。96ウェルから384ウェルプレートへ変更することで、必要なプレート数や試薬を減らすことができるだけでなく、自動化と組み合わせることで、よりばらつきと無駄の少ないサンプル処理が可能になります。

ヒント⑧ マルチプレックス化する

サンガー法では1度に1つの短いDNAフラグメントの配列しか決定できませんが、NGSでは、インデックスアダプターまたは分子バーコードによって、1回のランで数百~数千の配列ライブラリーをシークエンシングすることができます。

このような「マルチプレックス化」によって、シークエンシングのコストを下げているのです。1つのフローセル上で複数のライブラリーをシークエンシングできるため、NGSプラットフォームのキャパシティを最大限に活用でき、より費用対効果が高くなります。

ただし、マルチプレックス化に課題がないわけではありません。その1つは、NGSライブラリーのノーマライゼーション(正規化)の問題です。DNAノーマライゼーションとは、シークエンシング出力のばらつきが大きくならないように、マルチプレックス化に対応してDNAライブラリーの濃度を均等化するプロセスです。通常、このノーマライゼーションプロセスには、ライブラリーの濃度をきちんと測定して希釈する必要があります。ここで再登場するのが「磁気ビーズ」です。磁気ビーズでのノーマライゼーションは、ライブラリーの定量化ステップが一切不要、非常にシンプルなオプションとなります。詳細は、以下のガイドをご覧ください。

ヒント⑨ スケールアップ/スケールダウンのタイミングを知る

NGSのコスト削減には、並列シークエンシングの処理能力を増やすことが、最も重要です。前述したマルチプレックス化に加えて、一部のシークエンシングプラットフォームでは、複数のフローセルを実行するオプションが用意されており、コストをかけずにシークエンシングのキャパシティを効果的に増やすことができます。

一方、そこまでは「今のところ必要ない」という場合、大規模なハイスループットシークエンシングプラットフォームは、かなりの投資のように思えるかもしれません。そこで、小型のベンチトップシークエンシングラットフォームが1つの選択肢になります。小型シークエンサーはラボにも簡単に導入することができ、微生物やウイルスの全ゲノムシークエンシングやターゲット遺伝子のシークエンシングにも最適です。

ヒント⑩ アウトソースを検討する

今すぐに社内でのシークエンシングが必要かどうか――最終的にはチームに問う価値があります。どのようなシークエンシング・プラットフォームも長期的な投資であり、維持管理と最適化が必要になります。

別の方法として、多くのシークエンシングサービスプロバイダーを活用することもできます。プロバイダーは、依頼されたサンプルを信頼性の高いデータに変換するためのワークフローを確立し、最適化しています。 また、既製のクラウドアプリを使用してプロジェクトの管理やデータ処理を行うことで、バイオインフォマティクスの負担を軽減することもできます。

そして、シークエンシングで得られたすべてのデータをどのように保管するでしょうか? TB単位のデータをローカルに保存することも可能ですが、セキュリティおよび冗長性のためには「オフサイトバックアップ」が不可欠です。オフサイトバックアップには、最近のデータや定期的にアクセスされるデータ用の「クラウド型ストレージ」や、データの長期保存のための「テープ型コールドストレージ」などが挙げられます。

シークエンシングプロバイダーは、専用のNGSデータストレージオプションを提供している場合もあります。独自のデータ保護対策が既に用意されているので、これは費用対効果の高いオプションで手間を省くことができます。

弊社は、NGSを最適化する幅広いツールとソリューションを提供しています。詳細は、以下の「NGSワークフローを簡素化するハンドブック」をご覧ください。ゲノミクスブログもどうぞ。NGSワークフローに関するお問合せは、ページ下部のお問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。


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