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Location:Home実験手法別製品・技術情報2D DIGE(蛍光標識二次元発現差異解析)

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DIGE 道場 第3回
できるプロのタンパク質抽出術

第3回 もくじ

  1. はじめに ~とってもDIGE(大事)なタンパク質抽出~
  2. タンパク質可溶化液について 
  3. 培養細胞からのタンパク質抽出法
  4. 組織からのタンパク質抽出法
  5. おわりに

Dr. 近藤のコラム
→コラム第3回 「生涯道場編」 ~戦うプロテオーム研究~

B. 凍結状態の試料からの試料調製

液体窒素で凍結された検体を凍ったまま粉末状にまで破砕し、細胞がばらばらになったところに一気に可溶化液を加える方法である。古典的には乳鉢を用いてこのような実験が行われてきた。検体数が少ないとき、検体がある程度大きいときは液体窒素で凍らせた乳鉢で十分対応できるし、試料の質もよい。たいていの方は乳鉢とすりこぎ(乳棒)で十分だろう。慣れるのに少し時間がかかるかもしれないが、「小麦粉状」のパウダーになるのが理想的、というイメージで手を動かしているとそのうちできるようになる。液体窒素を傍らに置いて、適宜補充しながら温度が上がらないようにするのがポイントである。

しかし、100検体を3日以内に処理したいという場合には乳鉢では対応できない。またごく微小な検体は乳鉢で擦っている間にどこかにいってしまう。

多検体を短時間で破砕するには、安井器械から販売されている「マルチビーズショッカー」がよい。この機械では液体窒素で凍らせておいた強度の高いスクリューキャップチューブに、同様に液体窒素で凍らせておいた検体とステンレスビーズを入れ、専用の機械の中で高速で振り回すことで検体を破砕する。処理するのは短時間なので温度が上がることはない。

この方法で、組織は小麦粉状にまでさらさらに破砕される。破砕された検体は、DNAやRNA抽出用に、やはり液体窒素で冷やしておいたスパーテルで粉末状のまま小分けすることもできる。この方法では高品質のタンパク質だけでなく、GeneChip解析に耐えうる品質のRNAも一度に数10検体安定して抽出できることを確認している。未確認だが、経験的にRLGS(Restriction Landmark Genomic Scanning)用のDNA抽出にも適しているのではないかと考えている。

凍結組織からのタンパク質抽出法

図13

特に工夫というものはなく購入した機械をそのまま使っている。あえて工夫と言えば、液体窒素をふんだんに使っていることだろうか。

機械にかけるアルミブロックに専用チューブをセットし、そのまま液体窒素で凍らす。次に液体窒素で凍らしている凍結標本を入れる。凍結標本はあまり大きすぎないことがポイントである。小豆大では大きすぎで、米粒数個分くらいのボリュームがよい。ステンレスの箱には液体窒素が入っており、その全体が発砲スチロールの箱に入れられている。液体窒素は危険なので取り扱いには十分注意されたい。以下、撮影協力;植村則久医師。

図14

ステンレスビーズを入れるところ。ビーズ自体も液体窒素で冷やしておく。

図15

組織とビーズが入っているところ。実はこの組織は若干大きすぎである。

図16

使用する装置の概観

図17

上記の冷却したアルミブロックとチューブを入れているところ。軍手をはいてその上からさらにラテックスのグローブをしている。

図18

固定はトルクレンチを使用する。締めすぎてねじ切ったりすることもあるので正しくトルクレンチを使用しましょう。

図19

タッチパネルで破砕条件を入力する。条件は組織によって異なる。数回行っても温度が上昇することはないので、普通は複数回連続して行う。

図20

破砕が終わって取り出すところ。軍手の上にラテックスグローブをしている。

(つづく) B. 凍結状態の試料からの試料調製

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