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Location:Home実験手法別製品・技術情報BIA(生物物理学的相互作用解析) > 相互作用解析の王道

Presented by Dr. Kouhei Tsumoto
東京大学大学院
医科学研究所
津本 浩平 先生

実践編-3:核酸-タンパク質相互作用の熱力学的解析(5)
特に超好熱性タンパク質に対する温度に対応したDNAの相互作用特性について

目次

  1. はじめに
  2. 超好熱菌由来TATA-box結合タンパク質の分子特性
  3. PhoTBPのSELEX解析
  4. SELEX DNAの熱力学的な相互作用解析
  5. SELEX DNAの塩濃度依存性(当ページです)
  6. ゲノム配列における生物学的意義
  7. おわりに

SELEX DNAの塩濃度依存性

SELEX DNAとPhoTBP間の相互作用において、oligo50とoligo25では水和変化に違いがあることが示唆されました。そこで塩濃度(NaCl)変化における各相互作用の結合定数を算出し、log[NaCl]をx軸に、logKaをy軸にプロットし、以下の式(1)によるfittingを行うことで、係数Aよりイオンの挙動(正の値;イオンの放出、負の値;イオンの取込み)が、係数Bより水分子の挙動(正の値;水分子の放出、負の値;水分子の取込み)をパラメーターとして算出でき[7]、これより相互作用特性の比較を行いました。

logKobs = logKobs,1M - A log[NaCl] + 0.016B [NaCl] --- (1)

高温として50℃、低温として37℃を設定し、oligo50-1とoligo25-1を用いて解析を行いました(図5)。

Ka変化のグラフ
図5. PhoTBPとSELEX DNA間の相互作用におけるNaCl濃度変化に伴う会合定数Ka変化

A、Bの計算結果
表2. 図5から式1より算出した係数A、Bの値

表2より、oligo50-1は50℃においてわずかなイオンの取込み(A = -0.51)と共に多くの水分子の放出(B = 28)があったのに対し、37℃では水分子はあまり放出されず(B = 8)、イオンの取込みが増加する(A = -2.28)ことが明らかとなりました。逆に、oligo25-1では37℃においてわずかなイオンの取込み(A = -0.40)と多くの水分子の放出(B = 41)があったのに対し、50℃ではイオン、水分子ともに取込まれる(A = -2.34、B = -11)ことが分かりました。以上の結果は、本実験のSELEXではより多くの水分子を放出する塩基配列DNAが選択されていることを示しています[5]。TBPは二本鎖DNAと相互作用するために脱水和反応を必要とします。従って十分な水分子の放出によるTBPのDNA結合は、より安定な複合体を形成すると考えられます。

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相互作用解析の王道」について

相互作用解析の王道」は、2009年8月よりバイオダイレクトメールでお届けしています。

連載記事一覧
タイトル 配信
ご挨拶 連載「相互作用解析の王道」を始めるにあたって 2009年8月
第1回 原理:其は王道を歩む基礎体力 2009年10月
第2回 実践編その1:抗シガトキシン抗体の相互作用解析例 2009年12月
第3回 対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする? 2010年2月
第4回 実践編-2:相互作用解析手法を用いた低分子スクリーニング その1 2010年4月
第5回 実践編-3:核酸-タンパク質相互作用の熱力学的解析 2010年8月
第6回 概論:タンパク質/バイオ医薬品の品質評価における、SPR/カロリメトリーの有用性 2010年11月
第7回 抗体医薬開発の技術革新~物理化学、計算科学との融合~ 2011年5月
第8回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~相互作用の観点から~ 2011年8月
第9回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~タンパク質の構造安定性の観点から~ 2011年9月
第10回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(1) 2011年10月
第11回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(2) 2011年12月
参考 用語集  
〈応用編〉連載記事一覧
タイトル 配信
第1回 抗体医薬リードのカイネティクス評価手法の実例 2012年5月
第2回 細胞表面受容体の弱く速い認識を解析する 2012年7月
第3回 SPRを用いた分子間相互作用測定における、“低”固定化量の重要性 2012年8月
第4回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(1) 2012年9月
第5回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(2) 2012年10月
第6回 「ファージライブラリによるペプチドリガンドのデザインにおける相互作用解析」 2012年11月
第7回 SPRとITCの競合法を用いたフラグメント化合物のスクリーニングとキャラクタリゼーション 2012年12月
第8回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(3) 2013年2月
第9回 熱分析とタンパク質立体構造に基づくリガンド認識機構の解析 2013年3月
〈最終回〉
最終回 連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって ~3年間を振り返って、そしてこれから~ 2013年4月

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