現在のバイオ医薬品製造ではアップストリーム工程の技術進歩により、タンパク質発現効率や培養スケールが増加しています。一方、新薬の開発現場においては、製品の安全性および品質を確保しつつ、経済性の側面からバイオプロセスオペレーションの生産性を向上する必要性が高まっています。
クロマトグラフィーはバイオ医薬品製造のダウンストリーム工程で広く使用されています。Capture、Intermediate Purificationの工程では、目的タンパク質の活性を保持するために迅速かつ高効率な処理が必要となります。これらのステップにおける高速処理は、プロテアーゼと目的タンパク質を速やかに分離するなどの効果があり品質の改良につながります。これらのステップで結合容量が高く、高流速が可能な担体を使用すると、サンプル量が増加しても特別に高容積のカラムを必要としないため、処理時間を短縮することが可能となります。また、目的タンパク質の回収量が高くなり、処理回数を減らすことも可能です。
このような高速処理の実現には、タンパク質が担体内部を自由に拡散できる多孔構造と物理的な剛性をあわせもつ担体が必要となります。アガロース担体は、物理剛性と化学安定性を有し、高いダイナミックキャパシティーを実現できる親水性多孔構造を持っており、古くからタンパク質精製に用いられていますが、合成ポリマーに比べて剛性面では劣ると考えられてきました。しかしながら、革新的な技術進歩の結果、アガロースは合成ポリマーと同等の剛性を有するようになりました。
Capto™やMabSelect™など新開発のHigh Flow Agaroseは、耐圧や流速特性を大幅に改良したアガロース担体です。特に初期精製や担体の洗浄時には、有用な多孔構造を維持したままでの高速処理が可能です。またスケールアップ時には、従来法による線流速をそろえる方法(ベッド高:一定、カラム直径:増加)に加えて、レジデンスタイムをそろえる方法(ベッド高:増加、カラム直径:増加)が可能となります。これにより、設備やインストレーション/バリデーション作業の負担が軽減されます。

※ タンパク質の3段階精製のステップ。
Capture:粗抽出液からの目的タンパク質の分離、濃縮、安定化
Intermediate purification:不純物の除去
Polishing:最終精製、高純度化

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High Flow Agarose とSepharose™ 6 Fast Flow の流速特性の比較

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