セミナープログラム
本イベントではA会場で開催される英語セミナーにつきましては「英⇨日」同時通訳を実施します。
- 各セミナーとも先着順でのご案内となります。
- セミナータイトルやプログラム内容は予告なく変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。
Part 1:
Pre-Use Post Sterilization Integrity Test (PUPSIT): Regulatory aspects and Implementation in commercial operations
Part 2:
PIC/S GMP Annex1に対応した注射剤の無菌ろ過に関するケーススタディ
-
Part 1:
Sudhakar Nagaraj
Cytiva, Business Development, Bioprocess APAC Director -
Part 2:
吉澤 実 様
中外製薬工業株式会社 生産技術研究部,無菌注射製剤生産技術プロフェッショナル
Part 1:Pre-Use Post Sterilization Integrity Test (PUPSIT): Regulatory aspects and Implementation in commercial operations
無菌医薬品の製造において、ろ過滅菌グレードメンブレンフィルターによるろ過滅菌は、製品の無菌性保証を担う重要な最終工程である。近年、ろ過滅菌工程の信頼性向上策としてPre-Use Post-Sterilization Integrity Testing(PUPSIT)の重要性が高まっており、2022年改訂のPIC/S GMP Annex 1では、正当なリスク評価がない限り使用前の完全性確認が求められている。
本講演では、PUPSITに関する世界各国の規制動向を概説し、EMA、PIC/S、MFDS、FDA、PMDA、NMPAなど主要規制当局間における規制スタンスの違いを整理する。また、品質リスクマネジメント(QRM)の観点から、フィルター選定、滅菌方法、バイオバーデン管理、閉塞リスク、完全性試験法など、PUPSIT導入時に考慮すべき技術的要因について解説する。
さらに、フォワードフロー試験とバブルポイント試験の比較、水湿潤および製品湿潤によるPUPSITの特徴、自動化PUPSITソリューションによる運用効率化やヒューマンエラー低減について紹介し、無菌保証強化と規制要件への対応に向けた実践的なアプローチを提案する。
Part 2:PIC/S GMP Annex1に対応した注射剤の無菌ろ過に関するケーススタディ
本講演では、シングルユースシステム(SUS)を活用した注射剤の無菌ろ過プロセスについて、PIC/S GMP Annex 1に対応したケーススタディを紹介します。近年のAnnex 1改訂では、無菌製剤の製造に対する国際的な規制強化が図られ、工程設計に基づく科学的かつリスクベースの無菌保証への転換が求められています。無菌ろ過工程に関しても、具体的な要求事項が盛り込まれました。そのなかでも、フィルタの完全性確保、特にPUPSIT(pre-use post sterilisation integrity test)の実施が強く求められており、1つ目のケーススタディでは、その実運用における課題と対応策について紹介します。SUSを用いたPUPSIT実施時の技術的課題のひとつとして、フィルタ内に残留した湿潤液によるろ過液の希釈リスクがありますが、エアブロー/乾燥工程を導入することでこれを回避した事例を紹介します。さらに、ガスフィルタの完全性試験について、その実施タイミングに関する選択肢についても議論します。
2つ目のケーススタディでは、SUSの無菌性保証に関する考え方について議論します。SUSは主にサプライヤにより滅菌処理されるため、その滅菌保証に対する使用者(製薬企業)側の責任、実務的対応について紹介します。さらに、滅菌後から使用までの間、無菌性が維持されていることを保証するための鍵となる、気密性保証について考察します。
細胞培養プロセスの簡素化と効率化に ~ Xcellerex™ X-platform バイオリアクター
Xcellerex™ X-platform バイオリアクターは、2023年に50 L および200 L スケールの販売を開始した弊社の新型バイオリアクターです。拡張サイズラインアップとして、500 L および 2000 L スケールも既に受注を開始しています。
製品群全体として、10 Lから2000 L までの幅広いワーキングボリュームをサポートしており、容易なスケールアップ・スケールアウトを実現するとともに、高いプロセス柔軟性と運転リスクの低減を可能にします。パイロット設備からGMP製造設備まで対応するモジュール設計とこれまでのXcellerex™ バイオリアクターでの経験・知見に基づいたアプリケーションベースのアプローチにより、細胞培養プロセスの生産性向上を支援します。
また、フェドバッチ培養およびパーフュージョン培養向けにデザインされたシングルユースバッグを採用しており、豊富な標準バッグのラインアップによって安定供給と用途適合性を両立しています。さらに、新規スパージャーおよび底部中央設置型のインペラ/ドライブユニットの採用により、高い酸素供給能力と攪拌動力を実現し、高密度細胞培養にも対応可能な設計となっています。
加えて、インペラベースプレートや固定機構の改良により、バッグの位置合わせ精度を向上させるとともに、バッグ破損リスクを低減します。輸送時のシングルユースバッグの損傷リスクを抑制する新しいコンセプトのハードカバー設計も採用しており、プロセスリスクの低減に寄与します。
本セミナーでは、Xcellerex™ X-platformバイオリアクターの最新概要と主要な機能について紹介するとともに、新たに拡張されるサイズラインアップであるX-500 およびX-2000 を用いた細胞培養の結果を含むアプリケーションデータについてもご紹介します。
MPSを用いた評価法の今 ~社会実装への課題~
近年、医薬品開発のみならず食品や化粧品開発の現場において、ヒトの臓器や組織の外挿性が高いin vitro評価系として、Microphysiological system(MPS)の利活用が強く望まれています。MPSとはヒト組織の3次元的な構造や体液の流れなどを、アッセイの目的に合わせて可能な限り再現した系であり、従来のin vitroアッセイでは明らかに出来なかった動態や安全性・薬効を調べることが可能になると期待されています。さらには、健常モデルのみならず、将来的には疾患モデルを開発することも強く求められており、疾患動物モデルを作製する事が困難な研究への新たなアプローチになるとも考えられています。海外では複数の製品がリリースされ、多くの製薬企業を中心に使われ始めていますが、まだまだ系の妥当性評価など、多くの課題を抱えているのが現状です。
そのような社会情勢の中、我々は AMED「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した高度な創薬支援ツール技術開発)」において、事業内で開発されたMPS(腸肝連関、肝心連関、消化管、血液脳関門、腎尿細管、中枢神経等)の適格性検証データ取得やアプリケーション開発を進めています。アプリケーション開発時に最も重要になるのが、Context of Use (COU)という概念ですが、MPSを活用する医薬品等の開発フェーズ、分析対象の用途や背景情報によって大きく変わります。また、MPSに搭載される臓器細胞の特性もCOUに合致する必要がありますが、時には安定な供給が難しい場合もあり大きな課題です。
一概にこれまでの動物実験をMPSに置き換えるとはいかず、各MPSの特性を理解し、COUも理解した上でConventionalなin vitroアッセイ、動物、そしてMPSを適用することが望ましいと考えられます。本発表では、アカデミアでのMPS開発の現状と今後の展望について、「動物実験代替法としての活用」だけではなく「ヒト生体模倣系としての活用」という観点から、MPSを含めたアッセイ法の関係性についての事業内の議論を紹介します。また、国内外の動向を踏まえ、我が国における国際標準化戦略の現状に関しても議論します。
近日公開
血液脳関門通過技術を用いた新規AAVベクター(JUST-AAV)による遺伝子治療
脳は生物にとって最も重要な臓器の1つであり、その機能を健全に保つため脳血管には血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)が存在し、脳内への物質輸送を制限しています。BBBは脳の機能維持には大変重要ですが、ひとたび脳疾患を患い薬物治療が必要になると大きな障壁となります。
JCRファーマでは、人体に生来備わったトランスサイトーシスの仕組みを利用した BBB通過技術 J-Brain Cargo® の開発に成功しました。この技術を適用し、2021 年にはライソゾーム病の一種であるハンター症候群の治療薬として、世界初となる BBB 通過型酵素製剤を発売しました。
ハンター症候群は全身性かつ進行性の希少疾患ですが、従来の酵素補充療法では神経障害等に対する薬効は望めませんでした。一方、J-Brain Cargo® を適用した BBB 通過型酵素製剤では、日本およびブラジルでの臨床試験において、脳脊髄液中のバイオマーカーの変化に加え、神経発達評価においても好適な変化をもたらすことが確認されています。
この J-Brain Cargo® は、組換えタンパク質・抗体医薬・核酸医薬・遺伝子治療など、多様なモダリティへの応用が可能な基盤技術です。特に遺伝子治療分野において、J-Brain Cargo® を適用して標的組織への指向性を持たせつつ、安全性を高めるために特定の組織・臓器への移行性を低減するよう設計した AAV ベクター(JUST-AAV)の開発を進めています。これ は AAV を用いた遺伝子治療において問題となっている、AAV の肝集積による副作用や、脳や筋肉などの組織への送達効率が悪いという課題の克服に資する技術です。
今回の講演では J-Brain Cargo® 技術の概要について説明し、JUST-AAV の作用機序、非臨床データについて紹介いたします。
ダウンストリーム工程のプロセスインテンシフィケーションによるコスト効率と環境持続性の両立
バイオ医薬品産業では、患者さんへの医薬品アクセス向上に向けた製造コストの低減と、企業としてのサステナビリティ目標達成に向けた環境負荷低減の両立がますます重要なテーマとなっています。一方で、「環境負荷の削減はコスト増につながるのではないか」という懸念も依然として存在します。
本講演では、モノクローナル抗体 (mAb) 製造プロセスを例に、ライフサイクルアセスメント (LCA) を活用して製造工程全体の環境負荷を評価し、プロセスの高効率化 (Process Intensification) が環境持続性および経済性に与える影響について解説します。NIIMBL LCAツールを用いて、従来型バッチプロセス、連続生産プロセス、シングルユース技術、再生可能エネルギーの利用など複数の製造シナリオを比較し、カーボンフットプリントの主要因(ホットスポット)を明らかにします。
さらに、ダウンストリーム工程に焦点を当て、ProteinA クロマトグラフィーレジンの結合容量やアルカリ耐性、使用寿命といった製品性能が、環境負荷と製造原価 (COGS) の双方に与える影響を紹介します。高性能レジンや生産性向上技術を活用することで、レジン使用量やバッファー消費量の削減、生産設備の有効活用が可能となり、結果としてコスト削減と環境負荷低減を同時に実現できることを示します。
本講演では、環境持続性と経済性は相反するものではなく、適切なプロセス設計と技術選択によって両立可能であることを、実際のケーススタディを通じてご紹介します。今後のバイオ医薬品製造において、より効率的で持続可能な生産体制を構築するための実践的なヒントを提供します。
パネルディスカッション
「知の流動化」を通じたバイオロジクスの製品化、事業化に向けて
-
モデレーター
上村 成章 様
一般社団法人 Japan Pharmaceutical & BioScience Society
代表理事 -
パネリスト
中森 幹 様
アステラス製薬株式会社
事業開発部 部長 Scouting & Transactionグループ長 -
パネリスト
尾山 和信 様
株式会社 ONODERA GT Pharma
常務執行役員 品質統括部門管掌 薬事部長 -
パネリスト
野々村 和彦 様
RDiscovery株式会社
パートナー / 取締役
新たなモダリティが次々と登場し、その研究・開発・CMCから販売・供給に至るまで、各工程は年々難度を増している。抗体やタンパク質製剤に始まり、二重特異性抗体、抗体薬物複合体(ADC)、核酸医薬、そして細胞・遺伝子治療(CGT)へと選択肢が広がるなかで、製品化・事業化に求められる知識と技術の総量は急速に拡大し、研究から供給までを一気通貫で見渡せる人材や組織は限られ、専門知はますます分散している。
この難しさは、新興バイオテックに固有のものではない。潤沢なリソースと実績を持つ大企業であってもCRL(Complete Response Letter)を受領する事例は決して稀ではなく、複雑性の高いCGTでは、対応の難度はいっそう増す。新規の専門性、個別化生産や生細胞の品質保証、コールドチェーンなど、低分子や抗体とは質的に異なる課題を伴うためである。
さらに重要なのは、これらが上市直前に表面化する性質のものではなく、最終分子の選択や起業初期という、きわめて早い段階から織り込むべき構造的な論点ということである。製造性、規制戦略、サプライチェーン設計を見据えた初期判断の巧拙が、後の事業の成否を大きく左右する。ところが現実には、そうした判断を担う専門性を初期から備えているとは限らず、研究・製造・規制・事業開発といった機能の間でも議論が分断されやすい。結果として、知見が組織の内外に十分に行き渡らないまま開発が進むことも少なくない。
本セミナーでは、新規モダリティを含むバイオロジクスの製品化・事業化に共通する課題と機会を、「知の流動化」という視点から多面的に掘り下げる。組織や専門領域の境界を越えて知見が循環することの意義を問い直し、研究、開発・CMC、事業開発・経営に携わる方まで、立場の異なる登壇者と参加者がともに、明日からの実務に資する新たな視座を得る場としたい。
バイオ医薬品開発におけるファブレス戦略とファウンドリー戦略 ― 生産設備競争時代から、エコシステムを製造する時代へ
バイオ医薬品開発において、創薬技術、モダリティ、製造プロセス、品質・薬事要求は急速に高度化・多様化している。一方で、開発企業が自社内に研究、プロセス開発、GMP製造、分析、品質保証、薬事対応の全機能を保有することは、資金面・人材面・時間軸のいずれにおいても困難になりつつある。半導体産業では、設計に特化するファブレス企業と、製造機能を担うファウンドリー企業の分業モデルが産業競争力を大きく変革した。バイオ医薬品産業においても、CDMO、装置・原材料メーカー、分析機関、規制対応専門家、デジタル技術を組み合わせたエコシステム設計が、今後の開発戦略上の重要な論点となる。
本講演では、バイオ医薬品開発における「ファブレス戦略」を、単なる製造外部委託ではなく、限られた経営資源を製品価値、知的財産、CMC戦略、プロジェクトマネジメントに集中させる経営モデルとして捉え直す。また、「ファウンドリー戦略」を、GMP製造設備の提供にとどまらず、プラットフォーム技術、標準化されたプロセス、スケールアップ経験、品質システム、データ蓄積を活用するための産業基盤として考察する。
特に、抗体医薬、ADC、mRNA、遺伝子治療などの多様なモダリティにおいて、開発初期から商用製造を見据えたCDMO選定、技術移転、品質・薬事リスク管理、サプライチェーン設計をどのように構築すべきかを整理する。さらに、日本のバイオ医薬品産業が国際競争力を高めるために、「設備を保有する」発想から「最適な製造・技術エコシステムを設計し、使いこなす」発想へ転換する必要性について提言する。
ネットワーキング
Cell Therapy Reset: Redefining the Path Forward
細胞治療のリセット:未来への道筋を再定義する
細胞治療業界は今、大きな転換期を迎えています。科学的な概念実証(Proof of Concept)の段階から、持続可能な形で患者さんに価値を届ける段階へと焦点が移る中、新たな技術とビジネスモデルが次世代の発展を形作り始めています。
本講演では、細胞治療の次世代を規定する主要なトレンドを紹介します。製造工程の自動化・高速化による複雑性の低減に加え、ウイルスベクターやLNP(脂質ナノ粒子)を活用し、体内で免疫細胞を直接改変する in vivo細胞治療 の進展に焦点を当てます。これらのアプローチは、従来の細胞治療製造が抱える課題の克服につながる可能性を秘めています。
さらに、細胞治療の成功はもはや単独の技術革新だけでは達成できず、開発企業、テクノロジープロバイダー、製造パートナー、医療機関、規制当局を含む幅広いステークホルダー間の連携が不可欠となっています。本講演では、そのような新たなエコシステムの形成についても考察します。
これらの変化がもたらす潮流の融合により、細胞治療はより拡張性が高く、患者さんに届けやすく、持続可能な医療へと進化しつつあります。本講演では、細胞治療が直面する転換点を俯瞰し、よりスケーラブルでアクセス可能かつ持続可能な未来に向けた戦略的方向性を展望します。
官・産・学の視点から読み解くバイオ医薬品製造の課題
~国内製造ケイパビリティ強化と政策・産業連携の方向性~
本講演では、バイオ医薬品、とりわけ抗体医薬品を中心とした製造をめぐる日本の現状と課題を、官・産・学の三つの視点から整理し、国内製造ケイパビリティ強化に向けた方向性を提示する。まず、医薬品貿易収支が約4.6兆円の輸入超過となっている実態や、国内で使用される抗体医薬品の多くが海外創製・海外製造である構造を概観し、日本が一定規模の市場と技術力を有しながら「つくる国」として十分に機能していない現状を示す。
次に、製薬企業・CDMO・部素材メーカー等への有識者ヒアリングや調査結果をもとに、①国内市場だけでは投資回収が難しく、設備投資・人材投資に踏み込みにくい産業側の制約、②原薬製造・部素材を含めた海外依存と、国内CDMOの規模・実績等の現状、③バイオプロセスに特化した人材・教育基盤の不足、という三層のボトルネックを整理する。
そのうえで、官公庁には、創薬段階から国内製造を組み込む政策設計、原薬・製造設備への重点支援、国内製造や安定供給を評価する各種制度面の見直し等の必要性について提起する。また、産業界には、国内外を見据えた製造戦略の明確化、CDMOや部素材メーカーとの連携強化、バイオシミラー等を通じた製造実績の蓄積が必要であることを指摘する。アカデミアには、創薬成果をトランスレーショナル研究として製造・開発につなげる視点と、バイオプロセス・GMP人材の体系的な育成機能強化を期待する。
最後に、金融機関としてのMUFGの役割として、①設備投資・人材育成・コンソーシアム運営等へのリスクマネー供給、②国内外プレイヤーを結ぶハブ/サードパーティーとしてのネットワーキング機能、③政策・産業動向を踏まえたシンクタンク/コンサルティング機能を通じ、官・産・学の連携を実装段階に乗せていくための具体的な支援の方向性を示し、日本を「創薬・開発・製造一体型」のバイオ医薬品拠点へと転換していくための議論のたたき台を提示する。
標的化in vivo LNPの進展:上流の技術革新と下流CMCスケーラビリティをつなぐ
近年、in vivo CAR-Tや遺伝子編集治療をはじめとする新たな治療モダリティの実現可能性が示される中、開発の焦点は「標的細胞へ送達できるか」というProof of Conceptの段階から、「再現性をもって開発・製造・品質管理できるか」というトランスレーショナル開発へと移りつつあります。
その中核技術として注目されているのが、Targeted Lipid Nanoparticle(tLNP)です。従来のLNPは肝臓への高い集積性を特徴としてきましたが、近年では新規イオン化脂質、リガンド修飾、タンパク質コロナ制御などの技術革新により、T細胞や造血系細胞、その他の肝外組織への選択的送達を目指した研究開発が急速に進展しています。これらの技術は、in vivo CAR-Tや次世代遺伝子治療の実現を支える重要な基盤として期待される一方、送達効率のみならず、安全性、再投与性、製造再現性なども含めた総合的な評価が求められる段階へと入りつつあります。
一方で、革新的な送達技術を実際の医薬品開発へ展開するためには、標的化性能の向上だけでは十分ではありません。製剤設計、粒子形成プロセス、分析評価、品質戦略、安全性評価、スケールアップおよび技術移管に至るまで、一貫したCMC戦略の構築が求められます。特に近年は、開発初期に得られた有望な研究成果を、いかに効率的かつ再現性高く臨床開発および商業製造へ接続するかが重要な課題となっており、上流の製剤イノベーションと下流のCMCスケーラビリティを早期から結び付けて設計する重要性が高まっています。
本講演では、標的化 in vivo LNPを取り巻く最新の技術動向と主要な開発アプローチを概観するとともに、研究段階のProof of Conceptから臨床開発・商業製造への移行を支えるWorkflow構築の考え方について紹介します。また、上流の技術革新と下流CMCスケーラビリティを統合する視点から、次世代のin vivo遺伝子治療の実用化に向けて、開発初期からどのような設計思想と評価戦略を持つべきか、その成功要因について議論します。
最新製造リューションのご紹介(詳細は当日発表)
スピーカー
Cytiva
CLD・品質特性評価を進化させるBiacore活用の最前線
本セミナーでは、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を基盤とするBiacore™ の基礎と応用について、従来の相互作用解析に加え、効率的な評価手法や新たな応用の観点から紹介します。まず、Biacore™ の開発の歴史を概観し、8S seriesを含む装置ラインナップ、測定原理および利用方法について整理します。
続いて細胞株開発(CLD)における活用について、二重特異抗体(bsAb)を例に紹介します。(1)培養上清を用いたProtein Aアッセイによる総抗体量(titer)の迅速評価として、従来法と、384 sampleを24分で濃度測定するRapid concentrationの考え方を紹介し、多数クローンのスクリーニング効率化について議論します。(2)更にbsAbにおける正しい分子構造(ペア)の割合評価として、サンドイッチアッセイの考え方を紹介し、「量」と「質」に一挙にアプローチします。更に本手法のELISAに対する利点を、時間、手間とデータ品質の観点から比較します。
話しは変わり、核酸医薬やmRNAワクチン分野で注目されるLNP評価への応用も取り上げます。新しいソフトウェアで適用可能なSensorgram Comparisonを交えた品質特性評価への活用について議論します。
これらを通じて、Biacore™ の高精度な相互作用解析に加え、効率的なスクリーニングおよび新たな特性解析ツールとしての活用について紹介します。
パネルディスカッション
製薬協 – トップCDMO鼎談|バイオ製造を支える人材基盤の再構築
-
モデレーター
小野 健介
Cytiva
ガバメントアフェアーズ -
パネリスト
中川 泰志郎 様
日本製薬工業協会(協和キリン株式会社生産本部生産戦略企画部 部長補佐)
バイオ医薬品委員会 政策実務委員会 実務委員長 -
パネリスト
加瀬 晃 様
富士フイルム富山化学株式会社
取締役 執行役員 バイオ事業本部長 -
パネリスト
村田 博 様
AGC株式会社
ライフサイエンスカンパニー バイスプレジデント
バイオ医薬品産業の持続的な成長には、設備投資や技術革新のみならず、それを支える人材基盤の強化が不可欠である。Global Biopharma Index 2025において日本は、産業の基礎にあたる「Talent Pool」ならびに実装力を左右する「Manufacturing agility」に課題を抱えていることが示唆されており、これらを放置すれば製造競争力の停滞につながりかねない状況にある。
Cytiva Japanでは、こうした課題認識のもとホワイトペーパーの発行や、バイオマニュファクチュアリング協議会(BMC)への関与を通じ、サプライヤーの立場から人材育成に取り組んできた。また製薬協においては、パンデミック以前よりこの人材課題を広く提起したうえで、産・官・学のさまざまなステークホルダーと連携した取り組みをリードしてきている。
さらに、CDMO各社においては、製造基盤整備の進展と並行する形で、それぞれ海外拠点との連携や国内製薬企業との連携を含めた体系的な人材育成を加速させている。
本セッションでは、これらの取り組みを俯瞰し、「人材育成」を個社の枠を超えた産業構造課題として再定義する。そのうえで、製薬企業・CDMO・サプライヤーそれぞれの視点を統合し、日本のバイオ製造競争力を支える人材戦略のあり方と、実装に向けた具体的な示唆について議論を展開する。
近日公開
マルチカラムクロマトグラフィー工程のスケールアップ課題への取組み及び簡素化スケールダウンモデルによるプロセス設計の効率化
はじめに
中外製薬では,培養液中で不安定な分子を高品質かつ堅牢に製造するための有望なアプローチとして,灌流培養とマルチカラムクロマトグラフィー(Multi-Column Chromatography, MCC)工程を組み合わせた連続生産プロセスの技術開発を進めています。本技術をGMP製造へ展開し実用化するためには,スケールアップ課題への取組みに加え,プロセス設計を効率的に進めるための戦略構築が重要となります。
スケールアップ課題への取組み
Cytiva社と共同でカスタム開発したパイロット設備を用いたスケールアップ検証において,微生物汚染などの技術課題が顕在化しましたが,最終的には灌流培養とCapture MCC工程からなる連結プロセスを20日間以上にわたって安定的に連続稼働させることに成功しました。今回の発表では,スケールアップ検証を通じて明らかとなった課題と,その解決に至るまでの具体的なアプローチを体系的に報告します。
簡素化スケールダウンモデルによるプロセス設計の効率化
Capture MCC工程では複雑な流路で複数カラムを同時にオペレーションさせるため,そのプロセス設定にあたっては,インプットサンプル量や樹脂使用量の増大,プロセスタイムの長期化,さらには専用装置への依存といった実務上の課題や制約が存在します。そこで我々は,本工程のプロセス設計の効率化を目的として,MCC特有の操作(OverloadおよびPost Load Wash)を維持しつつ簡素化を実現したスケールダウンモデル(Scale-Down Model, SDM)を新たに構築しました。
今回の発表では,簡素化SDMと従来型SDMの比較評価を通じて,簡素化SDMを用いたプロセス設計が実用上十分な信頼性を有し,装置およびサンプルの制約下においても柔軟性と効率性を両立できることを示します。さらに,用途や試験環境に応じてSDMを戦略的に使い分けることの重要性を示し,その実装に向けた有効な指針を提示します。
バイオ医薬品製造人材をどう育てるか ―課題と打ち手―
バイオ医薬品の市場拡大とともに、製造人材の不足が業界全体の課題となっており、現場では「適切な人材がいない」という声が頻繁に聞かれ、特にCMCや製造に携わる高度人材の育成の課題は共通認識となっている。この問題は単なる人数不足ではなく、製造プロセスの複雑性と経験依存性に起因する構造的課題である。抗体医薬品に代表されるバイオ医薬品の製造は、動物細胞を扱いタンパク質を生産するという高度なプロセスであり、GMPの理解、無菌操作、工程設計など多岐にわたる専門性と実務経験が求められる。そのため、短期間で即戦力人材を育成することは難しく、バイオ医薬品製薬企業内での実地経験に依存した育成が続いてきた。
一方で、アカデミアにおける教育は座学が中心であり、実技やGMPを含めた現場対応力を醸成する機会は極めて限られている。この結果、教育と産業界のニーズとの間に大きなギャップが生じている。また、国内のCDMOや製造基盤整備が進むほど、必要とされる人材はさらに増加し、人材不足はむしろ顕在化する傾向にある。
こうした状況に対し、製薬企業、CDMO、アカデミア、政府がそれぞれ人材育成に取り組んでいるものの、取り組みは分散しており、エコシステムとしての最適化には至っていない。今後は、実機を用いた教育拠点の整備、人材の流動化とリスキリング、キャリアの魅力発信、さらに産学官の役割分担の明確化が重要となる。
本講演では、バイオ医薬品製造人材不足の本質を現場視点から整理し、業界全体の動向を俯瞰した上で、具体的な打ち手を議論する。併せて、開発から製造までを一体として人材育成を行う取り組み事例を紹介し、バイオ医薬品産業の持続的成長を支える人材育成のあり方について提言する。
Part 1
HyClone™ 製品製造能力の現在地とバイオ医薬品業界が直面している原材料管理に対する最新の取り組み
Part 2
PFASの現状とCytivaの取り組み
-
Part 1:
若林 敦也
Cytiva
バイオプロセス事業部 -
Part 2:
山口 猛
Cytiva
バイオプロセス事業部
Part 1:HyClone™ 製品製造能力の現在地とバイオ医薬品業界が直面している原材料管理に対する最新の取り組み
今後も急成長分野として期待されるバイオ医薬品市場を見据え、設備が拡張されたUS製造所は、今年6月のテープカットをもって本格稼働となりました。製造能力増強による安定供給体制を整えることで、お客様が常に安心してHyClone製品をご使用いただけるよう日々努めています。
製品ライフサイクル管理もまた、安定供給の重要なポイントです。一例として細胞培養培地中に存在する微量金属の代表格クエン酸第二鉄アンモニウム(FAC)管理についてCytivaが講じている対策について紹介します。
Part 2:PFASの現状とCytivaの取り組み
PFAS規制の概要と最新情報、Cytivaの取り組みや提案をご紹介します。PFASは耐熱性・耐薬品性・低摩擦性など優れた物理・化学的な特性を持つことから、幅広い産業で広く利用されております。一方で、自然界では分解されにくく生物の体内に蓄積しやすいことから、環境・健康リスクへの懸念が高まっています。こうした背景のもと、欧州化学物質庁(ECHA)は約1万種類以上のPFASを対象とした包括的規制案を提示し、様々な産業分野への影響が議論されてきております。この規制は全面禁止だけでなく、一定期間の猶予やリスク管理下での使用継続といった選択肢も議論されており、産業界では社会的重要性を踏まえたフィードバックが行われています。
本セミナーでは、
- これまでのPFAS規制案の概要および今後の見通し
- CytivaによるPFASへの対応状況やスタンス
- 代替品導入にあたっての注意点およびPFASフリー製品の紹介
などを説明します。