はじめに

日本国内では2020年1月末に最初の新型コロナウイルス感染者が診断されてから、早いもので1年と半年に差し掛かろうとしています。

この未曽有の事態で我々の生活にも大きな変化が訪れました。日本のBiacore™チームは弊社内としてもこの変化に最も早く対応し、2020年5月には社内で初の取り組みでとなるCytiva Webinarを開始いたしました。

以降、月1回のペースでさまざまな情報をお届けし、現在も続いております。本記事では過去13回のWebinarを振り返り、各Webinarでのハイライトをまとめたいと思います。各Webinarは無料でのオンデマンド配信も実施しておりますのでご興味のあるものや改めて内容をご確認されたいものなど、ぜひ足を、いえ目と耳を運んでいただければ幸いです。

現在、いくつかのWebinarはCytivaブランドへのリブランディングの移行に伴い配信を停止しておりご迷惑をおかけしております。順次作業を進めておりますので公開停止中のコンテンツはしばらくお待ちいただければ幸甚です。


2020年

2020.05.15
ノウハウや経験がなくてもBiacore™の測定系を最速で立ち上げられる方法

Biacore™での測定にあまり慣れていらっしゃらないユーザー様から、

  • 固定化方法、リガンドを希釈バッファー、再生条件など条件検討が多岐にわたるので大変
  • 初めて取り組むのに、ノウハウをまず勉強するのに時間がかかる

といった声を頂戴することがあります。

こういった条件検討を通じることで取り扱うサンプルの特性が理解できることもありますので、これはこれで良い面もあると考えますが、一方で使用頻度がそれほど高くない方にとってはもっとシンプルに結果を得たいというご要望がございます。

本WebinarではBiotin CAPture Kitを駆使して様々なサンプルでワークフローを統一化し効率的に結果を得ることに主眼を置いたものです。

Biotin CAPture Kitのご説明から始まり、EZ-Link™を用いたサンプルのビオチン標識方法を動画でご紹介しており、この手順に沿って測定を実施していただければ多くのサンプルに対応できるはずです。初めてBiacore™を使う方やBiacore™を使える環境にありながらもつい避けてしまっていた方、うまく結果が得られず悩んでいらっしゃる方などに大変お勧めの内容です。

申し訳ございません。現在非公開中です。

2020.05.20
抗体スクリーニングにおけるEpitope binningの活用とBiacore™での測定

抗原に対して別々の抗体が結合できるかどうかを評価するのがEpitope binningです。短いペプチド断片を用いて抗原のエピトープを検索するEpitope mappingとは異なります。利用方法としては大きく4つに分類され、

  • Biotherapeutics development(抗体スクリーニングにおいて異なるBinから選別するのに有用)
  • Vaccine development(ユニバーサルワクチン開発のためにB細胞やT細胞のエピトープを決定する)
  • Diagnostic reagent(生体バイオマーカー分子の免疫学的検出のため)
  • Intellectual property (IP) protection(知的財産を保護することや他社の特許を侵害していないかどうかの検証)

となります。

本WebinarではBiacore™でEpitope binningを行う場合3つのアッセイフォーマットを提示し、具体的にどのようなアウトプットが得られるか、さらにそれをInsight evaluation softwareで解析することで得られるHeat map、Bin wheelについてご紹介しております。

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2020.06.11
Biacore™の測定系構築の勘所

Biacore™でデータを取得するにあたり測定系構築は実験の信頼性を上げる重要な要素です。本Webinarでは固定化方法の選択、アッセイワークフロー全体を通して特に重視すること、解析のフィッティングなど、信頼性の高いデータを得るために押さえておきたいポイントや考え方について紹介しています。

内容としては装置納品時に行う取扱説明をベースに、やや詳細に至るまで解説しています。Biacore™で測定系を構築する際のワークフローの概要を理解できるストーリーになっていますので、初めてBiacore™を触る方や改めて学習したい方に向いた資料です。

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2020.06.24
正しいBiacore™データ、取れてますか?~失敗例を見てみましょう!~

弊社では平日無料でお客様のご質問を受け付ける、バイオダイレクトラインがございます。我々Biacore™スタッフが日々お客様のデータを拝見する中で、よくある間違いやご質問について分析し、解説したWebinarです。

フィッティング後の見た目はとても良いのにChi2がとても大きい?!SE値ってなんだ?添加時間や解離時間はどれくらいの長さを取るべきなの?Affinity解析で良好なフィッティングがかかっているってどんな時?

などのトピックを「失敗例を交えて」取り扱いました。最終的にはBiacore™でデータを取って解析するにあたっての6 Stepsを提示し、今後の測定のお役に立てるよう提案しています。

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2020.08.25
イチからはじめるBiacore™での抗体スクリーニング

抗体スクリーニングでBiacore™が利用できることは何となく知っている、だがやったことはない、不安である、他技術と比べたときのメリットが分からない。こういった方向けのWebinarです。既にBiacore™での抗体スクリーニングは実績も多く、ほぼ完成された手法です。

Biacore™では標的に対する特異性(選択性)、結合特性、およびクローンの発現レベルといった視点から抗体スクリーニングを実施できます。Biacore™ 8K+, 8K、T200それぞれで測定にかかる時間や具体的な計画なども提示しています。

サンプルはクルードサンプル(ハイブリドーマ培養上清、大腸菌培養上清、血清)も取り扱えます。アッセイフォーマットは各種Antibody capture kitあるいはSensor chip Protein Gなどを用いたキャプチャー法を提案しており、解離相に着目した独特な解析方法、添加する抗原の濃度、各種具体例などを提案しています。

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2020.09.23
Biacore™でタンパク質医薬品の品質評価をするには?分析法開発とバリデーションの基本的考え方

既に31年の歴史を持つBiacore™は、創薬においてearly stageの探索・研究開発からlate stageの品質管理までカバーする汎用性の高い製品に成長しました。品質管理でのBiacore™の運用は欧米で盛んに行われ、多くのガイドラインが発行されています。

本Webinarではそれらを噛み砕きタンパク質の品質評価をBiacore™で行うことの意義からCase studyまでをご案内しています。

Biacore™のValidationは大きく3つのステップに分かれます。すなわち、

  • Planning(計画)
  • Method Development(試験法開発)
  • Validation Experiments(試験実行)

です。こういったアッセイ系をサポートするガイドラインは大きく3つあり、(FDA guideline for Industry、ICH Q2 (R2)、EMA guidelines)それぞれが引用しあっています。

この中で最も労力が必要なのが 2 の試験法開発であり、Biacore™で得られるデータのアウトプットはReport point dataとSensorgram dataの2種類があること、およびアッセイ系開発で重視すべきことについてご紹介しています。

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2020.09.29
ラボにあるBiacore™で何ができる?~Biacore™の歴史と今できること~

1990年に初代Biacore™が誕生してから既に30年を超えました。各機種における仕様の違いだけでなく、歴史的に発展していったアプリケーション、測定アプローチなどを振り返るWebinarです。

最近の装置では感度はサブRUも濃度依存性を確認できるほどの高感度を得ており、それにより測定できる低分子の分子量に下限はなくなりました。しかし高感度化によるメリットは低分子のみに留まらず、膜タンパク質のような高難度標的分子の測定を可能にしたり、非常に遅い解離の相互作用の定数化にも影響を与えています。

加えてシングルサイクル法、熱力学的反応解析、CFCA、Sensorgram comparison、低分子スクリーニングの結果解析、A-B-A injection、Insight Evaluation SoftwareによるExcel, Power point, PDFへのエクスポート兼レポーティング、EC50やPLA解析、Epitope binningといった機能を一通りご紹介しております。もしこの中に聞きなれない単語がございましたらご一見の価値があるものと思います。ぜひご覧ください。

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2020.10.21
こんなものまであるんです。~Biacore™試薬・消耗品のご案内~

Biacore™の測定技術はBiacore™本体だけでなく試薬・消耗品でも支えられています。多様な測定に対応できるよう数多くのアイテムを取り揃えておりまして、これらの中にはみなさまの実験を大きく加速させるような優れた製品もございますが、その数がかなり多いため全てを把握することは大変困難だと思います。必須の消耗品であるセンサーチップでさえ14種類以上あり、「何に使えるのか分からない」という問題があります。

本Webinarではそれらの試薬・消耗品に焦点を当て、利用するサンプルや得たい結果ごとに利用できるアイテムをご紹介しています。上述のセンサーチップのみならず数多くのキット類、ランニング緩衝液、バイアル、キャップからプレート、プレートフォイル(シール)やセプタといった基本的な消耗品はもちろんのこと、ガラスボトルやボトルキャップといった、思わず「こんなものまで販売しているの?」と言ってしまうような製品までご紹介いたします。

Webinar後半には製品の取扱説明書(Instruction For Use, IFU。これまで製品の中に小冊子が同梱されていましたが現在はダウンロード方式)、化学物質安全性データシート(Safety Data Sheet, SDS)、成績試験書(Certificates of Analysis, CofA)といった資料の保管場所もご案内しております。

申し訳ございません。現在非公開中です。

2020.11.12
イチから始めるBiacore™での低分子測定の戦略

低分子スクリーニングでBiacore™が利用できることは分かっている、あるいは実際にやっているが方法はあっているか不安という方向けのWebinarです。はじめにそもそもBiacore™でスクリーニングすることのメリットからご案内しています。続いて低分子を取り扱う上で注意しなければならないことや、有機溶媒(DMSO)を使用する上での独特の考え方である溶媒補正について、キャリーオーバーの抑制のためのExtra washについてを詳細に解説しています。

さらにその後ではフラグメントと低分子に分けて具体的なスクリーニングのワークフローを解説しています。本Webinarではフラグメントを300Da以下程度の分子であり、標的分子との親和力がμM~mMオーダーの「弱い」相互作用をする分子と定義し、一方で低分子は数百~1000Da程度の分子であり、親和力がnM~μMオーダーの「そこそこ強い」相互作用をする分子と定義しています。この場合、典型的なフラグメントのセンサーグラムは「箱型」となり、低分子のセンサーグラムは「解離相で少しカーブが見られる」ようになります。これらはBiacore™のスクリーニングにおいて戦略が異なりますが、ここを詳細に説明しています。

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2020.12.18
活性濃度を測ってみよう。~Biacore™による濃度定量~

タンパク質の濃度測定といえば、分光光度計で吸光度を元にした測定が思い浮かぶかもしれませんが、それに対してBiacore™では “活性を維持した分子の濃度定量” ができるという大きな特徴があります。

この活性濃度定量は、 “本当に作用する” 医薬品の濃度として品質管理に使用されたり、あるいはKD値を算出するためにも本来であれば “活性” 濃度情報が必要になりますので、実は隠れたBiacore™の利用価値です。例えば吸光度法とCFCAで算出された濃度に差がある場合、kinetics解析の結果が著しく乖離する現象が見られています。

本Webinarではなぜ活性濃度が重要かという点と、直接法、阻害法、また標品要らずの濃度定量(CFCA)など、各種法の特長や使い分けなどをあわせてご紹介しています。

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2021年

2021.01.27
【オンラインデモ】 Biacore™ X100で相互作用解析を始めよう

Biacore™ X100は、サンプル数がそれほど多くないラボにお勧めの、簡単操作でBiacore™の高品質データが得られる相互作用解析装置です。2020年末より、ずっと使いたいBiacore™を目指し、大幅な価格改定が行われお求めやすい価格となり、単独のラボでもご購入しやすくなりました。

まずはBiacore™ X100の概要について触れ、新価格のご案内を行った後、これまた非常に使いやすいキットであるBiotin CAPture Kitを用いたオンラインデモを実施しています。

装置前で撮影された動画を用いて実際にBiacore™ X100を動かす様子をご確認いただけます。操作がイメージしやすいものになっておりますので、装置のご導入をご検討のみなさまにはぜひご覧いただきたいWebinarです。

もしご興味ございましたらぜひTech-JP@cytiva.comまでご連絡ください。

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2021.03.18
Biacore™で粒子を測定する

Biacore™はタンパク質や低分子といった比較的小さな分子だけでなく、時にはμmのサイズの粒子の測定も可能です。フロー系システムのため流路の詰まりを懸念される声をよく耳にいたしますが、そもそもフローセルサイズ自体はそこまで狭くなく、実際には各種培養上清(さすがに遠心操作かフィルトレーションで大きなデブリは除去します)や血清を測定することが可能です。物理化学的な手法と異なり、Biacore™は溶液の濁度や色の影響を受けないというメリットもあります。

本Webinarでは比較的大きな分子を粒子と定義し、粒子をリガンドあるいはアナライトとして用いる場合の2パターンに分けてその解析方法や実施例を紹介しています。

具体的には、リポソーム、ラテックス、金コロイド、whole cell、リソソーム、VLPワクチン、インフルエンザウイルスHA抗原定量、アデノウイルスAdV、アデノ随伴ウイルスAAV、ポリオウイルス、そしてもちろんコロナウイルスについての測定例をご案内しています。

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2021.04.22
やっと分かった! Biacore™メンテナンスの方法と意味、トラブルシュートまで

日々お客様のお問合せをお受けしている中で、トラブルの多くは正しくメンテナンスを実施していないことに多くが起因していることに気が付きました。考えてみれば装置納品時に取扱説明でみなさまの元へご訪問し解説はしておりますが、それ以降のフォローという意味ではお問合せや修理に伺う際の、その都度のご対応となっていました。

本Webinarではメンテナンスに関わるみなさまの不安を払拭し、サンプル測定して何かヘンなことが起きた際に装置の問題なのか、サンプル自体の問題なのかを切り分けられるような眼を養うことができるものとなっております。

本Webinarは製品紹介だけでなく、なぜこの操作を行っているのか、注視すべき点はどこなのか、どこを洗浄しているのかといった「意味」にフォーカスしている点が特徴です。DesorbとDesorb&Sanitizeという最も重要な洗浄操作についても詳細に解説した後、System checkでは何を確認しているかを見て、ヘンなセンサーグラムが出たときに何が考えられるのかを紹介しています。

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本記事に記載されている以外にもCytiva Webinarではさまざまなトピックに関するWebinarを開催しております。ぜひこちらもチェックしてください。

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